所長ブログ

2013年7月18日 木曜日

事前準備の重要性~人の振り見て我が振り直せ

今日は、あるご依頼者様の家事調停のために、東京家庭裁判所立川支部へ行きました。

今回の事件は、ご依頼者様は、相手当事者(手続の中では、「申立人」と呼ばれます。)から調停の申し立てをされた「相手方」という立場で、当職は、その代理人ということになるのですが、申立人代理人の弁護士の準備が極めて杜撰でした。最初に出される「申立書」において、申し立てる内容についても正確に記載ができておらず、もともと、「申立の趣旨変更申立書」がついているような申立書となっていました(ただ、この部分については、扱っていた事件の内容が定型的なものではないので、仕方がない面はあるとは思いましたが)。

ただ、申立の理由が、内容の当否以前に、意味不明としか言いようのない記載が多かったので、当職も、事前に答弁書を書くときに、えらく苦労することになりました。例を挙げれば、申立書の申立ての理由には、「債務の内訳は別紙目録記載のとおりである」と書いてあるのもかかわらず、別紙目録には、債務の明細がどこにもなかったり、「詳細は、後記8のとおりである。」と書いてありながら、後を見ても、そもそも「6」で終わってしまい、どこにも「8」はなく、また、該当すると思われる個所もどこにもないので、数字の誤記とも思えない箇所もありました。そして一番びっくりしたのは、「相手方Aは、Bが、C病院に入院した。」という箇所があったことです(固有名詞は置き換えてありますが、文章は、そのままです。)。これでは、そもそも、Aが入院したと言いたいのかBが入院したと言いたいのか分かりませんし、そもそも、日本語の文章になっていないです(小学校1年生の作文でも、もう少し、分かるように書くと思います。)。

もともと、このような、形式的にも杜撰な申立書でしたが、やり方はもっと杜撰でした。家事調停の場合、もともと、答弁書は相手当事者に開示されないのが原則で、裁判所の許可があって初めて開示されているので、事前に準備ができない面はあるのですが、申立人代理人弁護士の主張は、ざっくり言えば、「申立ての理由が本当にあろうがなかろうがそんなこと大した問題ではないから、金、寄越せ。」と言っているのと何ら変わりがなく、当職が、「必要なら、申立人の言う話が間違っていることは、具体的に説明するけれども、そのように考えているから、お金を払うことはあり得ない。」ということを、調停委員を通じて、申立人代理人弁護士に伝えると、「金にならないのでは、意味がない。」と調停委員に言ったようで、結局、裁判官と調停委員から、「調停手続を続ける意味があると思えないから、申立てを取り下げるか考えなさい。」といわれ、申立人本人と相談して、申立てを取り下げて、初回で事件が終わっていまうという結末になりました。

正直、このような申立人代理人弁護士の行動を相手方の立場としてみたときに、事前に準備していなかったんだろうという印象を強く受けました。調停は、話合いがまとまらなければ、結論は出せない手続です。離婚の場合は、調停前置主義と言って、調停をしなければ裁判ができないので、とにかく調停を申し立てるより仕方がないという部分はありますが、それ以外の場合は、まとまる可能性がそれなりにあると思われるか、調停が不成立でも別の目的(例えば、書類が届かず、内容証明郵便を送付しても戻ってきてしまうが、居住していることは確実と思われる者に、通知を行いたいから付郵便送達で書面を送るために申し立てるとか、証拠が足りないなど、訴訟をしても結果に自信がないので、一定の証拠書類を相手方から出させたいなど)があり、調停はまとまらなくても、その目的は達成できると思われるときとか、何らかの目的と見込みを考えて、調停を申し立てるのが、専門家としての弁護士の役割ですが、正直、申立人代理人がそのようなことを、事前に考えていたとは思えず、「調停を何のために申したてたのか」が全く分かりませんでしたし、その上、初回に取り下げさせられるようでは、依頼者への説明も厳しく、普通は、何らかの形で、少し続けさせようとするのですが、それをする理由も用意しておらず、申立てを取り下げざるを得なくなったのですから、何のために調停申立てをしたのか分からないという結末になってしまったのです。

東京・池袋所在の、 林浩靖法律事務所 では、この申立人代理人の弁護士ような杜撰な準備はあり得ませんが、準備をきちんとしなければ結果が出ることはありえないということを、改めて教えられる事件でした。

法律事務所にも、質の善し悪しはありますので、ぜひ、きちんと準備して、常にご依頼者様のために最善を尽くす弊事務所に、お困りの際はご相談ください。

弁護士 林 浩靖

投稿者 林浩靖法律事務所

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