所長ブログ

2015年8月27日 木曜日

[書評]村武精一・佐々木宏幹編「文化人類学」(有斐閣Sシリーズ)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「文化人類学」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書は、編者両名を含む16名の文化人類学者の共著で、1991年に出版された書物である。20年以上、改訂がなされていないということにはなるが、「さまざまな民族や社会がもっている生活様式を可能な限り理解し、比較研究することを目的」(1頁)とする学問である文化人類学の概説書である。

①文化人類学の特質と視角、②親族の関係と互酬、③地縁空間と経済、④超自然的存在と象徴、⑤文化の変動、⑥日本の文化の6章に分かれている本書は、「『日本の文化』をとくに設けることにより、各民族の社会-文化との比較を行い、日本の社会-文化を浮き彫りにすることを目指した」(はしがきⅱ頁)本書は、基本的な事項を網羅しつつ、日本を相対化してみることのできる良書である。

外国人事件は、法律問題であると同時に、文化の問題という側面も有している。日本では自明なこととして説明が要らないことでも、説明しなければクライアントには分からないということが存在するからである。そのため、文化人類学の基本的な事項は、外国人相談を担当する際に、身に着けておいた方が良い分野の一つだと思う。本書は、やや古さが出てきてはいるものの、かかる意味では、今も安心して読むことのできる書物だと思う。今後も折を見て、読み返していきたい。

林浩靖法律事務所では、法律以外の周辺分野も含めて知識を深めるように、日々、研鑚に努めていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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2015年8月20日 木曜日

[書評]除本理史・渡辺淑彦編著 原発災害はなぜ不均等な復興をもたらすのか 福島事故から「人間の復興」、地域再生へ (ミネルヴァ書房)



1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「原発災害はなぜ不均等な復興をもたらすのか」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

この本の編著者の一人は、以前書評をした「福島原発事故賠償の研究」(日本評論社)(該当する記事は、こちら)と同じ大阪市立大学大学院経営学研究科の除本理史教授であり、もう一人は、福島県弁護士会に所属する渡辺淑彦弁護士である。そして、本書は、両先生がプロジェクトチームの座長を務める日本環境会議に設置されている2つの会議の成果を基に、「支援や賠償継続の必要性を被害実態に即して明らかにし」て、福島復興「政策改善の方向性を提示する」という目的で執筆されている書物である(はしがきⅰ頁)。そのため、実態調査に基づく復興の現実(被害論)を押さえた上で、政策論を論じている。

本書のように、被害実態を明らかにしたうえで、政策論を展開する書物は、福島原発事故が、広い範囲の地域に放射能汚染を及ぼし、かつ、個々人の状況により、生活再建のために必要なニーズが異なるという中で、非常に有益だと思う。取り上げている問題の範囲も広範にわたっている。ただ、惜しまれるのは、編著者の所属しているプロジェクトチームの実態調査が、川内村を中心に行っている影響であろうが、記述が川内村の状況に偏りすぎていると思われる点である。確かに、一定の地域の定点観測は必要であり、また、旧緊急時避難準備区域は、「福島復興政策」の歪みが集中的に表れていると思われる地域なので、地域の大半が旧緊急時避難準備区域に当たる川内村が定点観測の場所として悪くないことは否定しない。しかし、旧緊急時避難準備区域といっても、地域により差異はあるので、川内村での調査結果を、他の地域でも一定の調査を行って比較しておかないと、政策論の提言として偏りが生じるのではないかと思わざるを得ない。

もっとも、福島復興政策の結果や問題点を広範囲にわたって整理している良書であることは疑いなく、原発事故被災者救済にかかわっている当職のような者には、政策問題を把握するうえで有益な書物であることには疑いないので、本書で得た知識も生かして、これからも原発事故被災者のために頑張りたいと思います。

また、原発事故以外についての情報も、常にキャッチアップするように努めていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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2015年8月13日 木曜日

[書評]神﨑満治郎 商業登記法入門(有斐閣)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「商業登記法入門」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

著者は、「本書は入門書とはいえ中級程度の実務書としても役立つよう、またこれから司法書士試験を受験されようとする皆様の入門用テキストとしても活用できるように配慮しています。」(はしがきⅱ頁)とされているが、明らかに入門書であり、実務書として活用するのは厳しいと思う。

本書の一番良い使い方は、以前書評をした同じ著者の「図説 新商業登記法(改訂版)」(週刊住宅新聞社)(該当する記事は、こちら)の法改正をアップデートするための補充テキストと位置付けることだろう。本書は、平成26年会社法改正や平成27年2月の商業登記規則の改正に対応しており、また、「図説 新商業登記法(改訂版)」と章立てがかなり似ているため、アップデートするための補充用テキストとしては使いやすいと思う。

取扱分野の最新情報は、常にキャッチアップするように努めていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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2015年8月 6日 木曜日

夏季休暇について

当職は、明日8月7日(金)は地方出張し、その後、弊事務所は、来週8月10日(月)から、14日(金)まで、夏季休暇とさせていただきます。

そのため、本日夕方以降のお問い合わせに関しましては、8月17日(月)以降の回答になりますので、ご了承賜りますようにお願いいたします。

林浩靖法律事務所
弁護士 林 浩靖

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2015年8月 3日 月曜日

[書評]瀬木比呂志 民事訴訟実務・制度要論(日本評論社)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「民事訴訟実務・制度要論」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

この本の著者は、以前書評をした「民事訴訟の本質と諸相 市民のための裁判をめざして」(日本評論社)(該当する記事は、こちら)と同じ、元裁判官の瀬木比呂志明治大学法科大学院教授である。

この本は、はしがきにも記載されているように「実務の核心にある技術、知識、思想の理論的解明、実務の理論的解明」(ⅱ頁)を目的とした書物であり、法律の世界では、学者の書いた理論的な面を追及する基本書と、実務家の書いたハウツー本があふれる状況なので、このような本は大変貴重な書物といえる。

特に、民事訴訟法は、俗に、「学問の民事訴訟法」、「司法試験の民事訴訟法」、「実務の民事訴訟法」があるなどと言われることもあるが、その位、問題意識がバラバラとも言える。そして、「学問の民事訴訟法」は、実際にはほとんど問題とならないような理論的な問題が大きく取り上げられ、「司法試験の民事訴訟法」は当然のことながら試験対策に特化し、「実務の民事訴訟法」は、ハウツー的な本しかないという状態だった。そこへ、本書が現れた。普段、何気なく行っている行為の意味や、より効果的な方法を考える上での糸口が見つかり、また、自身の弁護士としての行為について絶えず反省のきっかけを与えてくれる書物だと思う。

民事訴訟実務は、弁護士にとって、依然として大きなウェイトを占める分野であり、勿論、当職の仕事においても、最大のウェイトを占めていると言えます。林浩靖法律事務所では、本書に限らず、常に最新の情報まで把握して、お客様に常に満足できる最良のサービスを提供させていただく所存ですので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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