所長ブログ

2014年6月24日 火曜日

誕生日

林浩靖法律事務所の弁護士の林です。

当職は、本日、38歳の誕生日を迎えました。
38歳の1年間も、ご依頼者様のお役にたてるように、日々研鑽し、日夜努力してまいりますので、よろしくお願いします。

弁護士 林 浩靖

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2014年6月16日 月曜日

[書評]瀬木比呂志 民事訴訟の本質と諸相 市民のための裁判をめざして(日本評論社)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「民事訴訟の本質と諸相」です(本記事は書評なので、この後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。

本書の著者は、明治大学法科大学院専任教授で、元裁判官である。裁判官時代から、民事訴訟法、民事保全法を中心に、いろいろなものを執筆されてきた方だが、この本は、瀬木教授の「研究執筆の総論に当たる書物」(はしがきⅰ頁)とのことである。

貴重な書物が出たと思う。というのは、刑事訴訟の分野では、「刑事学」という、ある種、刑法・刑事訴訟法の総論に当たる分野があったが、民事訴訟の分野では、かような総論に当たる分野がない。そこで、本書である。実務家から研究者に転身した著者が、プラグマティズムなどの視点を設定し、現代動物行動学や精神医学などの人間の分析に関する知見も用いながら、民事訴訟の本質を探っている。その際、「現代の民事法学には、民事訴訟の当事者とはどのような人々であるか、また、国民性や当事者の意識とさまざまな法的紛争との関わりいかんといった問題について分析、考察する視点は、残念ながら、法社会学も含めて乏しい」(135頁)や「日本の判例は、もっぱら法規を解釈し法理の宣明を行う部分に重点があり、紛争の核心となる事実及び法律問題を客観的な視点とできる限り広い視野から詳細に分析考慮した上で、右の(評者注:原文は縦書きなので、本記事では上記の)法律問題に関するなるべく正確な判断基準、具体的なメルクマールを立て、これに当該事件の具体的な事実関係を当てはめるという作業が必ずしも十分自覚的に行われていない傾向がある」(168頁~169頁)などの問題点も指摘している。

瀬木教授は、元裁判官ということもあり、理論一辺倒ではなく、現実も踏まえながら分析しており、実務家が、自己を相対化し、視点を得るという意味で、非常に有益な書物である。

民事訴訟は、弁護士にとって最大の業務であり、林浩靖法律事務所は、民事訴訟を、多数取り扱っており、必ず、ご満足いただけるサービスをご提供しています。何か、お困りごとがございましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談下さい。

弁護士 林 浩靖

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2014年6月 9日 月曜日

[書評]大塚直 環境法(第3版)(有斐閣)

2週続けて、法律書の書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「環境法(第3版)」です(本記事は書評なので、この後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。この本は、環境法の体系書であり、著者の大塚教授は、早稲田大学法務研究科・法学部の教授である。

環境法は、平成18年以降、司法試験の試験科目となったこともあり、書籍は徐々に増えているが、それ以前に初版が出版された本書は、まさに、環境法の基本書の決定版の地位を今でも保っている書物であると思う。確かに、環境法の書籍は増え、良質な入門書・基本書は増加している(以前、書評をした「現代環境法の諸相」(該当する記事は、こちら)も良質な入門書の一つといえる。)が、本書のように、国際環境法まできちんと目配りをして、かつ、環境法の勉強まできちんと示している書籍は、今のところ、他にはないと言って良いだろう。唯一の難点とすれば、最新の第3版は2010年の出版であり、改訂のペースがやや遅いことくらいであるが、本書の情報量の多さを考えれば、著者としても頻繁に改訂する訳にもいかないと思われるので、やむを得ないものと考える。2010年以降の法改正については、今のところ、他の書物でフォローするか、環境省のホームページなどを利用するよりないだろう。

環境法は、他の法律の勉強と少し異なる面がある。即ち、「環境法学は環境政策と密接に結びついており、法律を通じて政策についての理解が求められる」(はしがき(36)頁)という面があり、そのため、他の法律の勉強のように、論点の解釈が問題になるという場面は少なく、「法律の構造を全体的・『機能的』に捉え」る(はしがき(36)頁)ことが求められる。実際、環境法で問題になる論点というのは、ほとんどが、民法か行政法上の論点といえる。環境法は、民法や行政法だけでなく、「さまざまな法分野に関係するとともに、政治学、経済学、化学、生物学、工学、医学等の諸分野とも関連する、すぐれて学際的な領域」(はしがき(2)頁)という特性がある。このようなことを、きちんと示していることは、本書が出版当時は、環境法の数少ない体系書だったこともあるのであろうが、環境法の学習の入口を間違えさせないようにきちんと押さえているうえに、国際環境法も含め、全ての問題点を網羅している基本書は、他にないと言ってもよかろう。

なお、環境法の専門家には、民法から入っている先生と行政法から入っている先生がいるところ、本書の著者の大塚教授は、民法から入っている先生なので、行政法の部分については少し不安が残る面はある(逆に、以前、書評をした「現代環境法の諸相」の著者の北村教授は、行政法から入っている先生であるので、民法については、少し不安が残る)が、これは、環境法の性格を考えればやむを得ないと考えるよりなかろう。

原子力の問題は、原子力法という別の法分野と考えられているので、本書では触れられていないが、環境法の応用分野ともいえるので、原発事故の問題の処理にも役立てたいと思う。

本書で得た知識を活かしながら、弁護士として、原発事故被災者のために、また、それ以外のお困りごとを抱えている方のために、本書で得た知識も活かしながら、今後とも頑張る所存ですので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

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2014年6月 2日 月曜日

[書評]吉村良一 不法行為法(第4版)(有斐閣)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「不法行為法」です(本記事は書評なので、この後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。

本書の著者は、立命館大学法科大学院教授であり、ご専門は、不法行為法、環境法である。特に、公害関係の問題に関しては、優れたご論考が多く、原発事故被災者に関する事件の処理の際には、参考にさせて頂いている論文も多い。

本書は、その吉村教授による「不法行為法の『標準的な教科書ないし参考書』をめざして執筆」された書物である(はしがきⅲ頁)。不法行為法は、条文が少ないにもかかわらず、適用される範囲は広範にわたり、条文が、特に、抽象的なためどうしても何かあいまいな気分が残る分野ではある。しかしながら、実務ではよく使う分野の一つであり、当然、この分野が苦手ということは許されない。本書は、「不法行為の目的の第一は、生じた損害を填補し、原状を回復することにより被害者を救済すること」(16頁)という点を基本的な視点に据えて、不法行為法を解説するものであり、学生向けであるから分かり易いものであるが、著者が公害関係の問題を中心にご研究されていることもあり、被害者救済という観点がきちんと押さえられている。

原発事故もその一種ですが、公害関係の事件は、どうしても大半の資料は加害者が握っているということもあり、また、金銭に換算することが困難な、しかし、以前は存在し利益を享受できるものがあったことも確かなものが多く存在することもあり、被害者側の弁護士は大変、苦労するものになります。その際に、本書は、頼りになる基本書といえます。

当職は、本書で得て知識も生かして、原発事故被災者のためにさらに頑張る所存ですし、また、原発事故以外についても基本を重視して語彙ら使者様の為に最善を尽くすように努めていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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