所長ブログ

2013年1月31日 木曜日

外国人法律相談

林浩靖法律事務所の弁護士の林です。

本日は、午後、四谷にある日本司法支援センター、いわゆる法テラスに行って、外国人法律相談を行いました。
法テラスの行っている業務の一つに、経済的に余裕のない方に 対する無料の法律相談がありますが、その専門相談の一つである、外国人法律相談を担当させて頂いています。

本日も、3時間で、2件の相談がありました。外国人の方には、いわゆるビジネスで滞在されている、それなりにお金のある方と、逆に、金銭的に苦しく、さらに、日本語もあまり上手でないために、法的なトラブルに巻き込まれても、どこにも相談できない状態になっている方の2通りに分かれているように思えます。

当事務所は、池袋という、比較的外国人の方も多い場所に立地していることもあり、外国人問題にも力を入れています。

外国人問題、特に法的な問題でお困りのことがあれば、ぜひ、当事務所にご相談ください。

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2013年1月28日 月曜日

[書評]カレル・チャペック(栗栖継 訳) 山椒魚戦争(岩波文庫)

池袋で、皆様のために、日夜頑張っている弁護士の林です。

 
さて、今日は久しぶりに、1冊、書評をしたいと思います。(本記事は書評なので、ここからは、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)

当職は、普段は、業務の関係もあって、会社法務に関する本や金融商品に関する本などの業務に関連する本や、基本的な知識を身につける目的での実用性の高い本を読むことが多い。しかしながら、小説が無性に読みたくなったので、買ったまま「積ん読」状態になっていた、この本を読むことにした。(なお、本書は、小説なので、なるべくネタバレしないように書きますが、必要な範囲での最低限のネタバレはお許しください。)

著者のカレル・チャペックは、チェコの世界的な作家である。本書の原書初版は、1936年に出版されたものであるが、著者は、1938年の12月に死去したので、晩年の著作である。本書は、「ユートピア小説」「SF小説」といわれることもあるが、著者は、「私がこの作品で描いたのは、ユートピアではなく、現代」(11頁)と述べている。

本書の大きな筋は、以下のとおりである。赤道直下のタナ・マサ島で、発見された山椒魚が、やがて人間と同じような知性の高い生き物に進化する。そして、安上がりな労働力として、人間に代わって労働を行うようになるが、やがて、陸地を減らすように要求し、人間を征服するようになる。しかしながら、最後は、山椒魚同士で戦争になってしまい、山椒魚が全滅する。

確かに、山椒魚が、文明の段階まで進化するとしているところをとらえれば、SF小説のようにも読めると思う。ただ、著者が書きたかったものは、やはり「現代」とだったのではないかというのが、読後感である。それは、第2次世界大戦の直前という時代背景の中で、当時の世界情勢を示唆するような部分が数多くみられるからである。例えば、「共産主義インターナショナル」が、「全世界のすべての革命的被圧迫山椒魚に」対するアピールを出していたり(289頁)、また、山椒魚の独裁者として登場するチーフ・サラマンダー(人間ということになっている)は、「第一次世界大戦当時は、曹長だったんだ」(418頁)とアドルフ・ヒトラーを示唆する記述があるところからしても、人間世界の現実を、山椒魚に仮託して書いていたと思われるからである。

この本の内容は、現代でも考えさせる部分が多いと思う。たとえば、412頁にある「人間が山椒魚に仕える、ってわけか」というセリフなどは、現代において、人間が便利になるために作ったはずの「手段」に支配されていることに類比的ではないだろうか。技術も、マニュアルも、もともとは、便利になるための手段として作成されたはずである。しかしながら、これらの「手段」が自己目的化していることは、現代において多いといってよいであろう。また、「大爆発後、大気中には、いつも微細な砂塵がただよい」(347頁)というところは、2011年3月11日の福島第一原発事故後、今なお、高い放射能が検出されていることと似ているように思われる。

訳者の解説にもあるように、「科学・技術の発展は、はたして人間に幸福をもたらすか。それは幸福をもたらす反面、あるいは幸福をもたらすようでかえって、不幸をもたらし、けっきょく人類を滅亡にみちびくのではないか」(441頁)というのが、著者の念頭にある問題なのだろう。

もちろん、著者の念頭にあったのは、第2次世界大戦直前の問題であるが、そこで示唆される問題の中には、著者が本書を書いてから70年以上が経過した現代でも、まだ、解決していないものが多いと思う。そして、現代の、我々を取り巻く問題を考える際にもヒントになることはあるのではないかと思う。

優れた本は、どんな本でも、何か考えさせるところがあるということがよく分かった。

この書評を読んで、山椒魚戦争を読んでみたいと考える方がいらっしゃれば、本当にうれしく思います。

また、印象に残る本に出会ったら、書評も書きたいと思いますので、その時も読んでいただければ幸いです。

林浩靖法律事務所
弁護士 林 浩靖

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2013年1月18日 金曜日

いわきにて

池袋に事務所をかまえる林浩靖法律事務所の弁護士の林です。

本日は、日帰りで、福島県いわき市のいわき文化センターへ行き、原発事故の被害者の方を対象とした法律相談を行いました。

原発事故の賠償は、現地の実情を考えずに東京電力が方針を出しているため、金額も不十分で賠償があまり進んでいないという印象を持たざるを得ません。法律相談をしても、相談者の言うはわかる話なのですが、なにぶん避難中で金銭的にも苦しい方が多いので、訴訟までやるのは、金銭的にも時間的にもなかなか決断できないという面もあり、東京電力が足元を見ていると思われ、怒りが増加しています。

さて、14日に雪が降ったのは、いわきも東京も同じですが、いわきは(少なくとも市街地は)雪がすっかりなくなっていました。東京の方が(市街地の真ん中でも)雪が残っているのは、やはり、東京の方が雪かきが下手な成果(?)なのかと思い、普段から雪が降る地域とそうではない地域の違いかなと感じました。

原発事故の被害者に対する法律相談は、これからも続けていきたいと思います。

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2013年1月15日 火曜日

グローバル化の影響と思われる事件の増加

池袋に事務所を構える林浩靖法律事務所の弁護士の林浩靖です。

ブログの更新が、少しあきまして、申し訳ございません。

さて、今日は、グローバル化の進展で生じるようになったと感じている事件類型を取り上げたいと思います。

グローバル化の進展は、海外の不動産市況の影響としか思えない事件を、日本でも起こすようになりました。

以前、海外(特に、米国)の不動産市況が好調だった時期は、CDOエクイティなどの証券化商品が、証券会社を中心に売り出されました。これは、いわゆるサブプライムローンが含まれる商品だったため、いわゆるリーマンショックを契機として、価値が暴落しました。そもそも、証券化商品は、金融工学を駆使した、一般投資家が理解することが難しい商品だったため、多数の金融商品被害を生み出しました。

もっとも、CDOエクイティなどの証券化商品は、米国不動産市況の急落により、魅力的な商品が作れなくなったため、被害は、下火に向かっています。

しかし、これに代わって、今度は、海外への直接の不動産投資を薦める業者が現れました。米国のみならず、不況の影響で、欧州や東南アジアの不動産価格も下落し、さらに、円高が相まって、日本円に換算にした価格は、特に低下しているため、東南アジアや米国など、海外の不動産を購入して、投資することを薦める業者が現れたわけです。

もちろん、これらの業者が、全て問題のある業者というわけではない(もちろん、まともなほうが普通です)ですが、問題のある業者も混ざっており、さらに、不動産が海外にあるため、トラブルになると、海外の法律も絡み、解決は容易ではありません。

ただ、きちんとできるのであれば、魅力的な投資先でしょうから、きちんと業者を選んで、投資してください。トラブルを防止するのに役立つと思われる点を、以下に列挙しておきますので、参考にしてください。

① 引き渡しの日を契約書にきちんと明記させる、または、引き渡し時に代金を支払う内容にする。

② 相手方が海外法人になる場合、業者に連帯保証をさせる。

②は、現実的にはなかなか難しいときもありますが、そもそも、①に応じない業者であれば、事後的にトラブルになる可能性がかなりの確率で予想されますので、そのような業者は避けて、きちんとした業者に依頼して、投資家と業者が、ウィン・ウィンの関係を築いてくだされば、幸いです。

そして、業者に問い合わせても、報告がないなどのトラブルになった場合は、早めに、弁護士に相談しましょう。海外が絡むので、一般の投資家では、手におえなくなる危険性が高いですから、早めに、弁護士に相談し、適切な手を打つ必要があります。

最近の事件から、感じる雑感でした。

また、次回も読んでいただければ幸いです。

林浩靖法律事務所
弁護士 林 浩靖

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2013年1月 4日 金曜日

あけましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。

本年も、池袋から、依頼者の皆様のために頑張る所存ですので、よろしくお願いいたします。

林浩靖法律事務所
弁護士 林 浩靖

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