所長ブログ

2014年11月24日 月曜日

[書評]大津透 ほか 編 岩波講座 日本歴史 第1巻 原始・古代1(岩波書店)


仕事と関係のない書籍について、1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「岩波講座 日本歴史 第1巻 原始・古代1」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書は、全22巻のシリーズの第1回配本であるが、通史を踏まえたシリーズなので、日本史の基礎知識を強化するのに役立ちシリーズになるのではないかと思う。第1巻なので、最初に、編者の一人である大津東京大学教授による「古代史への招待」という論考が収録されており、そこで述べられている「古代史では...分析視角を定めることが重要」(4頁)という指摘などは、古代史を学ぶものにも役立つと思う。

本書の収録範囲は、旧石器時代~古墳時代中期であるが、高校レベルの日本史の知識が身についていれば、十分に読みこなせる論文集であり、テーマ設定も「通史」を重視した穏当なものなので、好適なシリーズになると思う。日本人である以上、日本史について一定の知識を持っていることは必要なので、この機会に、本シリーズを読んで行き、全巻を読破したい。

日本史の知識も重要ですが、本業は弁護士ですから、弁護士業務も勿論頑張っていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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2014年11月17日 月曜日

[書評]神崎満治郎編 商業登記・法人登記重要先例集(有斐閣)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「商業登記・法人登記重要先例集」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

先週は、本書の編者による「図説 新商業登記法(改訂版)」の書評を行った(該当する記事はこちら)が、商業登記は、法務省が所管する行政の一分野であるから、「商業・法人登記事務の所管官庁である法務省が所掌事務について示した行政解釈」(はしがきⅰ頁)である先例は、実務上は極めて重要であり、訴訟における判例と同じような位置づけになる。本書は、その商業登記法に関する重要な先例をまとめたものである。

「先例で取り上げられている事案も、そのほとんどが、登記すべき事項が効力を小手いるか否かという会社法の会社に関する問題」(はしがきⅰ頁)ではあるのだが、「法務省の見解と法学者の見解の見解は必ずしも一致するとは限」らず(はしがきⅰ頁)、登記事項については、登記が効力要件や対抗要件になっており、ビジネスの世界は動きが速いので、実際上は、登記事項の登記ができないのは大変な不利益で、実務上は、それが合理的な否かに関わらず、「先例に反する登記の申請は受理され」ない(はしがきⅰ頁)以上、先例に従わざるを得ない。そのため、先例は、ある意味法令と同じように、あるいは法令以上に、重要といえる。

本書は、かかる先例のうち、基本的なものを集めたもので、しかも要旨ではなく、先例の全文(あるいは長文の抜粋)が収録されているため、学習用としても、実務的にも、重宝する書物である。同じ有斐閣が出版している、判例百選シリーズに近い印象を受ける。

東京・池袋所在の林浩靖法律事務所では、紛争案件や契約関係の法務に限らず、商業登記についてもとりあつかっていますので、商業登記の申請が必要な事項でも、ワンストップサービスが提供できますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、当事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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2014年11月10日 月曜日

[書評]神崎満治郎 図説 新商業登記法(改訂版)(週刊住宅新聞社)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「図説 新商業登記法(改訂版)」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書は、商業登記法の全体について、図表も駆使しながら、700頁程度で記述した書物で、登記申請書様式(もっとも、法務所のホームページに掲載されているものであるが)も収録し、合計では1000頁程度の書物となっている。著者は、元札幌法務局長で、法務省で商業登記に関する業務に長く従事された方である。

商業登記法は、司法書士試験の試験科目になっていることもあり、司法書士試験対策用の書物は多く、あるいは、司法書士向けの実務書も多いものの、不動産登記法と異なり、学者が体系書を書くことは寡聞に聞かず、全体像が分かる体系書が見当たらない分野である。この書物も、勿論、体系書ではないが、商業登記法について必要十分な分量で全体が示されており、体系書の代用となる本である。著者は、本書について、「商業登記の手続を実体手続と登記申請手続きの二つに分けたうえ、これを有機的に関連付けて図説する」(はしがき1頁)書物と紹介しているが、この言葉に偽りはない。商業登記法の初学者でも、会社法についての一定の知識があれば十分に理解できるだろう。また、法人登記についても述べられているが、その際に(一般)「法人法の規律も株式会社に関する会社法とよく似ているので、法人法をマスターするには、法人法の規律と会社法の規律の異なる点を中心に理解するとよい」(674頁)など、学習上の注意点も、必要に応じて本文に記載されている。

会社法は、もちろん、法学部のある一般的な大学であれば、講義科目になっているはずであるし、経済学部や商学部でも講義科目として設置していることが多いが、この分野は、商事関係訴訟や商業登記の影響を大きく受け、また、金融商品取引法とも有機的に関連する。特に、登記は、どんな中小企業でも行わねばならないから、会社法の実態に大きく影響するのであるが、まだまだ研究されていない分野である。今後、商法の学者の先生から、商業登記法の体系書が出版されることを期待したい。

東京・池袋所在の林浩靖法律事務所では、紛争案件や契約関係の法務に限らず、商業登記についてもとりあつかっていますので、商業登記の申請が必要な事項でも、ワンストップサービスが提供できますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、当事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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2014年11月 3日 月曜日

[書評]塩谷喜雄 「原発事故報告書」の真実とウソ(文春文庫)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「『原発事故報告書』の真実とウソ」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書の著者は、元日本経済新聞の記者で、科学ジャーナリストである。本書は、東京電力福島第一原発事故について出ている4つの事故調報告書(国会事故調報告書、政府事故調報告書、東電事故調報告書、民間事故調報告書)について、比較検討し、「つぶさに読み解く」(18頁)書物である。事故調報告書を読みやすくするという意味では、良書である。

そして、問題点ごとに評価が書かれ、特定の立場に立つことなく、客観的に評価しているので、各事故調報告書の長所、短所がよく分かる。例えば、国会事故調報告書は、「福島第一原発を襲った地震動と津波高さの確認、評価、検証をまともに行ったのは、国会事故調だけ」(69頁)と地震・津波の分析については高評価だが、逆に、「官邸問題と東電撤退問題では、国会事故調報告に見るべきものはない」(171頁)というように、低評価もきちんと示されている。

全体としては、4つの事故調報告書の中で、一番、良いのは国会事故調報告書という評価だが(第1章)、いわゆる原子力ムラに属するなど利害関係のないものから見れば、一番妥当な評価であり、当然の結論に落ち着いているともいえる。ただ、一番重いのは、「4つの事故調の報告に共通して欠落しているのは、日本の原発の地理的、社会的、構造的な特性と、そのリスクの冷静な評価」(178頁)という指摘だろう。原発事故の被害者弁護団にも入っており、原発事故被災者のための仕事もしている当職にとって、訴訟で明らかにできること、法律にできることには限りがあるが、その中で、考えていかなければならない重い指摘である。

震災に関する法律相談に限らず、法律の知識は当然ですが、その他のいろいろな観点の知識も加えて、皆様の期待に応えられるリーガルサービスを提供させて頂きますので、何かお困りのことがございましたら、東京・池袋にあります林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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