所長ブログ

2015年11月25日 水曜日

[書評]リチャード・バック(五木寛之創訳・ラッセル・マンソン写真)かもめのジョナサン【完成版】(新潮文庫)



1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「かもめのジョナサン【完成版】」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書は、最終章(Part Four)が追加された完成版である。小説の【完成版】というのも珍しいとも思うが、Part Threeまでは、「順を追って辛抱強く、われわれの限界を克服しようと努める」(128頁)という努力の物語であるが、最終章では、主人公であるジョナサンは神格化され、「自由な生き方が、やがて規則と儀式によって少しずつ殺されていく」(10頁)過程が描かれている。

この小説は、もちろん、純粋にカモメの物語として楽しむことも出来るが、いろいろなことを示唆していると思う。「カモメが飛ぶこと」を仕事に、あるいは、学習に置き換えれば、自分の人生にも当てはまるし、「規則と儀式によって少しずつ殺されていく」過程を組織の硬直化の過程と捉えれば、会社などにも当てはまるだろう。

本書は小説なので、業務に直接、関係するものではありませんが、小説は人生の代理経験という側面もあり、教養も磨いていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

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弁護士 林 浩靖

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2015年11月18日 水曜日

[書評]東京電力福島原子力発電所事故調査委員会 国会事故調報告書(徳間書店)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「国会事故調報告書」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書は、平成24年7月5日に両院議長に提出された、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会に基づき設置された、国会事故調の報告書である。

国会事故調は、結論として、「事故の根源的な原因は、東北地方太平洋沖地震が発生した平成23(2011)年3月11日以前に求められる。当委員会の調査によれば、3.11時点において、福島第一原発は、地震にも津波にも耐えられる保証がない、脆弱な状態であったと推定される。地震・津波による被災の可能性、自然現象を起因とするシビアアクシデント(過酷事故)への対策、大量の放射能の放出が考えられる場合の住民の安全保護など、事業者である東京電力及び規制当局である内閣府原子力安全委員会、経済産業省原子力安全・保安院、また原子力推進当局である経済産業省が、それまでに当然備えておくべきこと、実施すべきことをしていなかった」(10頁。なお、引用にあたり、括弧内は略した。)と述べているが、この平成24年7月5日の報告内容は、その後に判明した事項を踏まえても、妥当な結論であり、本報告書の報告内容は、現時点でも、福島第一原発事故に関する基本的な文献と評価できる。

この国会事故調報告書は、問題点をきちんと指摘するものであり、現在でも、なお、福島第一原発には放射線量の高い箇所があり、十分な実地調査ができない以上、問題点を押さえて、その点を重点的に検討していくという国会事故調の手法以外に、現段階で、事故状況を調査する適切な方法はないといえよう。

福島第一原発事故に関しては、国会事故調の外にも報告書は出ているが、調査方法に欠陥があるとしか思えないものや、責任逃れのための論理に終始する報告書が多い中で、この国会事故調報告書は、現段階でもなお、一番信頼に値する報告書であり、福島第一原発事故について知りたい方には、一番お勧めできる基本的文献である。ただ、国会事故調は、野党主導で設置された経緯があり、そのために、官邸の動きに関する評価で、やや強引な評価が目立つのが難点ではある。ただ、事故自体の検討については、この報告書が一番信用に値すると言える。

また、平成24年7月5日という早い時期に出されているため、それ以降に判明した事項については、記載がない点は留意する必要がある。もっとも、現段階で、国会事故調報告書の記述が誤りと思われる箇所は発見されていないので、信用性の極めて高い基本的文献である。

当職は、福島第一原発事故被災者の支援にも関わっていますので、国会事故調報告書の調査内容を活かして今後とも活動していきたいと思います。また、福島第一原発事故に限らず、必要な情報はきちんと調査しておりますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

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2015年11月11日 水曜日

[書評]和田秀樹 大人のためのスキマ時間勉強法(PHPエル新書)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「大人のためのスキマ時間勉強法」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書の著者は、精神科医で受験技術研究家としても知られる和田秀樹氏である。以前は、大学受験生向けの本が多かったが、だんだん、大人向けの書物も増えている。

本書は、時間の使い方に関するテクニック集なので、自分に合ったものや試してみたいものを1つでも見つけられれば、それでよい書物と言える。実際、「何をするにも、あらかじめ所要時間を知っておくというのは重要だ」(44頁)、「時間単位に合わせて仕事を用意」(95頁)、「一つ一つの締め切り時間をはっきり決めることが有効だ」(176頁)、外国語の「読み書き能力を高めるには練習しかない」(211頁)など、改めて意識したい指摘が見つかった。

弁護士の仕事は、事務処理能力の占める比重の極めて高い仕事です。本書のような時間の使い方に関するヒント集は、やはり業務に役立つものがあります。

林浩靖法律事務所は、法律に限らず、必要な情報の入手とその実践に務めながら業務しておりますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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2015年11月 4日 水曜日

[書評]井筒俊彦 『コーラン』を読む(岩波現代文庫)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「『コーラン』を読む」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書の著者は、以前、書評をした「イスラーム文化 その根柢にあるもの(岩波文庫)」の著者(該当する記事は、こちら)であり、イスラーム学者として第一人者で、日本で最初の『コーラン』の原点役を刊行され、1993年に亡くなられた慶応義塾大学名誉教授である。

本書は、市民セミナーの講演を基にした書物であり、「表現されている思想、イマージュ、そしてまたそれらを下から支えている存在感覚や世界像があまりにも異質だから」(398頁~399頁)理解しにくい『コーラン』の「ごく短い、しかし完全に纏まりのある、一章を綿密に読む」(62頁)ということで、第1章「開扉」の章を綿密に読むという内容になっている。もっとも、実際には、第1章「開扉」の章の文言の理解のために、『コーラン』の他の部分も参照しているので、実質的には、かなりの部分を読んでいる書物である。

例えば、「『旧約』の預言概念を参照することが、『コーラン』の預言概念を理解する上に大いに助けになる」(337頁)という観点から、適宜、旧約聖書との比較を行うなど、コーラン以外の書物も利用しつつ、論じており、イスラーム理解のためには非常に良い書物であると思う。

林浩靖法律事務所では、外国人問題も取り扱っております。イスラームの方もいらっしゃいます。主要な宗教に限らず、きちんと背景知識を押さえた対応するようにしておりますので、外国人問題に限らず、何かお困りのことがありましたら、ぜひ東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

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