所長ブログ

2014年11月10日 月曜日

[書評]神崎満治郎 図説 新商業登記法(改訂版)(週刊住宅新聞社)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「図説 新商業登記法(改訂版)」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書は、商業登記法の全体について、図表も駆使しながら、700頁程度で記述した書物で、登記申請書様式(もっとも、法務所のホームページに掲載されているものであるが)も収録し、合計では1000頁程度の書物となっている。著者は、元札幌法務局長で、法務省で商業登記に関する業務に長く従事された方である。

商業登記法は、司法書士試験の試験科目になっていることもあり、司法書士試験対策用の書物は多く、あるいは、司法書士向けの実務書も多いものの、不動産登記法と異なり、学者が体系書を書くことは寡聞に聞かず、全体像が分かる体系書が見当たらない分野である。この書物も、勿論、体系書ではないが、商業登記法について必要十分な分量で全体が示されており、体系書の代用となる本である。著者は、本書について、「商業登記の手続を実体手続と登記申請手続きの二つに分けたうえ、これを有機的に関連付けて図説する」(はしがき1頁)書物と紹介しているが、この言葉に偽りはない。商業登記法の初学者でも、会社法についての一定の知識があれば十分に理解できるだろう。また、法人登記についても述べられているが、その際に(一般)「法人法の規律も株式会社に関する会社法とよく似ているので、法人法をマスターするには、法人法の規律と会社法の規律の異なる点を中心に理解するとよい」(674頁)など、学習上の注意点も、必要に応じて本文に記載されている。

会社法は、もちろん、法学部のある一般的な大学であれば、講義科目になっているはずであるし、経済学部や商学部でも講義科目として設置していることが多いが、この分野は、商事関係訴訟や商業登記の影響を大きく受け、また、金融商品取引法とも有機的に関連する。特に、登記は、どんな中小企業でも行わねばならないから、会社法の実態に大きく影響するのであるが、まだまだ研究されていない分野である。今後、商法の学者の先生から、商業登記法の体系書が出版されることを期待したい。

東京・池袋所在の林浩靖法律事務所では、紛争案件や契約関係の法務に限らず、商業登記についてもとりあつかっていますので、商業登記の申請が必要な事項でも、ワンストップサービスが提供できますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、当事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

投稿者 林浩靖法律事務所

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