所長ブログ

2014年12月15日 月曜日

[書評]田辺元 歴史的現実(こぶし書房)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「歴史的現実」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書は、戦前、京都帝国大学教授を務めた田辺元の著作。戦前の連続公演をまとめ、1940年に刊行された「歴史的現実」(第1部)と、戦後、1947年に発表された「種の論理の弁証法」が収録されている。

第1部の「歴史的現実」は、戦前、岩波書店から刊行されていたが、戦後、同版元は刊行していない。結局、2001年になって、こぶし書房という日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(革マル派)系の出版社から刊行された。

著者は、「国家」というものの理想的な在り方を探求しようとしている。しかしながら、「個人は国家を通して人類の文化の建設に参与する事によって永遠に繋がることができる」(71頁~72頁)という立場から導かれる実戦的な帰結は、国のために死ねということに他ならないから、時代の流れに乗って誤りを犯したというよりないだろう。戦後に刊行された「種の論理の弁証法」において、著者は、「宗教的立脚地に於ける人間の根源悪の自覚と、それに対する懺悔」や「国家の自己矛盾性」をきちんと踏まえなかったために誤った(214頁)としているが、時勢にのろうとしているだけのように思える。京都学派の代表的な哲学者であり、その著作に目を通しておく意義はあると考えるが、右翼的な傾向があることは否定できず、むしろ警戒すべき考え方というべきであろう。

弁護士という仕事は、依頼者の皆様のために頑張るのは勿論ですが、悪をはびこらせるようなことはあってはならず、そのための価値判断をきちんと持っていないと悪の手助けをすることになりかねない面があります。思想をきちんと学び、必要なときは困難とも闘いながら、正義を実現していきたいと思います。何かお困りのことがありましたら、ぜひ、正義を守る法律事務所である東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

投稿者 林浩靖法律事務所

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