所長ブログ

2014年12月29日 月曜日

[書評]佐竹健治・堀宗朗編 東日本大震災の科学(東京大学出版会)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「東日本大震災の科学」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書は、東京大学の教授・准教授8名の共同執筆で、「東京大学前期課程の全学自由研究ゼミナールに基づ」く書物である(はしがきⅲ頁)。元々が、大学1・2年生向けになされたゼミを下敷きにするものであるから、特殊な前提知識を要求されるものではなく、高校の地学の参考書を手許において読めば、誰でも読み進めることができるだろう。

しかしながら、内容の程度は高く、また、扱う範囲も多岐にわたっている。まず、東北地方太平洋沖地震の地震像として、①「震源破壊域は南北約五〇〇㎞、東西二〇〇㎞に広がる。とくにすべりの大きい領域破壊開始点から海溝まで及び、その量は五〇mを超えた」、「浅い領域と深い領域とですべり方が異なる。大きなすべりが生じた浅部での破壊は比較的ゆっくりであるが、深部側では速い動きの破壊が生じ、強い地震動を生成した」(ともに3頁)との2点の特徴を示し、説明を加えている。

その上で、次に、地震から津波に話題を移し、津波地震と貞観地震タイプの地震の2つの種類があることを示し、「二〇一一年東北地方太平洋沖地震は、一八九六年明治三陸地震と同様な津波地震タイプと、八六九年貞観地震タイプの地震が同時に発生し、連動することによって規模が大きくなった」(60頁)と説明する。また、「津波の高さ」には3種類あること(75頁)等もきちんと説明されている。

そして、防災や経済活動への影響なども説明されており、現在、東日本大震災のメカニズムを知るためには、手に取りやすい書物といえるだろう。当職も、本書で得た知識を活かしながら、弁護士として、原発事故被災者のためにさらに頑張る所存です。

また、原発事故以外についての情報も、常にキャッチアップするように努めていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。本年も最後になりました。良いお年をお過ごしください。

弁護士 林 浩靖

投稿者 林浩靖法律事務所

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