所長ブログ

2015年5月 4日 月曜日

[書評]池田真朗 新世紀民法学の構築 民と民との法を求めて(慶応義塾大学出版会)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「新世紀民法学の構築 民と民との法を求めて」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書は、本年3月末で慶応義塾大学法学部教授を退職され、現在は、武蔵野大学法学部教授(慶応義塾大学名誉教授)を務められている池田教授の慶応大学での4つの最終講義(教養課程での最終講義、学部専門課程での最終講義、法科大学院での最終講義、最終講演の4種)を収録したものである。池田教授は、債権譲渡がご専門ということもあり、概ね、債権譲渡をテーマにした講義がなされているが、ボアソナード民法という沿革の研究からスタートして、「比較法のもっとも直接的な利益というものが、解釈論の参考ということがあるとするのだとすれば、沿革的につながっている母法国の条文や判例・学説を参考にするべき」(12頁)という基本事項の指摘から、「『債務者たる企業を生かすための担保』」という現在進んでいる情勢の変化まで触れられており、学生から実務家まで、どのような立場にある者にとっても、何らかの示唆が得られる書物だと思う。

池田教授は、法学部の教授としては珍しく経済学部のご出身であり、当職も慶応義塾大学経済学部の卒業生であるから、学部の先輩にあたる。当職は、経済学部の出身で、大学では法律の授業をとることはほとんどなく、受験指導校の伊藤真の司法試験塾(現:伊藤塾)で法律は学んだ。そのため、なかなか大学教授の書いた法律書を読み通すことができず、初めて学者の書いた法律書を読み通せたのが、池田教授の「スタートライン債権法」であった。なかなか、池田教授のお話を聞く機会には恵まれなかったが、昨年、講演をお聞きすることが出来た。現実世界とのかかわりをきちんと意識しておられる講演であり、ご著書と同じく、分かりやすいものであった。

債権譲渡は、企業法務においては重要な分野の一つであり、本書で確認した知識も活かしながら、頑張っていきたいと思います。企業法務に限らず、何か、お困りごとがございましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談下さい。

弁護士 林 浩靖

投稿者 林浩靖法律事務所

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