所長ブログ

2015年10月 8日 木曜日

[書評]関礼子・中澤秀雄・丸山康司・田中求 環境の社会学(有斐閣アルマ)


1冊、書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「環境の社会学」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書は、有斐閣アルマシリーズの1冊で、関礼子立教大学教授ほか3名による環境社会学の概説書である。有斐閣アルマシリーズは、Interest(赤色)、Basic(緑色)、Specialized(橙色)、Advanced(青色)の4種類に分かれており、Interest(赤色)、Basic(緑色)は入門書の色彩が強く、Specialized(橙色)、Advanced(青色)は、概説書・基本書の色彩が強い。本書は、Specialized(橙色)に分類され、教科書・概説書としての利用が可能なものである。

本書は、「自然環境の問題を身体感覚に近いところでとらえ、自然環境の『痛み』を自らの『痛み』として感じながら解決策を導き出すような視点」(8頁)から執筆されており、「あいまいさと厳密さ、脳内と身体、技術と社会、危機管理と持続可能性という視点」(246頁)が通底している。「二項対立的な図式の非現実性」(186頁)を諫め、「過度の単純化」(189頁)の問題点を説き、具体的な場面と環境問題をめぐる理論をつないでいくテキストと評価できるであろう。

そして、日本の環境問題史の流れを「鉱害という論点に公害という新たな様相が加わり、さらに自然保護という視点や地球環境問題という視座が重なっていくという、重層的なイメージでとらえるのが適切」(222頁)とまとめている。本書が執筆、出版された後の2011年3月に福島第一原発事故という重大な公害事故が発生したので、さらに、原子力・放射性物質の問題という様相がさらに加わったといってよかろう。

本書は、福島第一原発事故前に執筆された書物であるから、当然、福島第一原発事故には触れられていない。しかしながら、原子力問題についても、「原子力事故は地元に住む人にとって、事前に予兆を察知することもできず、いかなる意味でも個人レベルで対処できる事項ではない。」(54頁)など、福島第一原発事故における損害賠償を考えるに当たって、重要な視点も含まれており、広い範囲に目配りされている書物といえる。

当職は、福島原発事故被災者の損害賠償請求訴訟にも携わっているが、参考になる支店の含まれている書物であった。また、原発事故以外の事件についても関連知識を幅広く補充しておりますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

投稿者 林浩靖法律事務所

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