所長ブログ

2016年1月25日 月曜日

[書評]川出敏裕 少年法(有斐閣)

1冊、書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「少年法」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書の著者は、東京大学大学院法学政治学研究科教授で、ご専門は刑事訴訟法である。本書は、刑事訴訟法学者の執筆ということもあり、緻密な解釈論が展開されており、理論面は充実している。

「その手続過程及び最終的に言い渡される保護処分を通じて、非行を行った少年を改善教育し、その少年が将来再び非行を行わないようにすることを目的」(11頁)とする「少年法は、刑事訴訟法と比較すると条文数が少ないこともあり、実務の運用が、その姿を形作るうえで大きな役割をはたしている」(はしがきⅰ頁)ところ、少年法の基本書は少なく、正直、これまでの書物は、読んで退屈で挫折するものが多かった。
その中で、本書は、学者の書いた緻密な解釈論が展開される書籍であるため、考えながら読めば、十分に納得して読み進めることができ、近時の少年法の書籍の中では、一押しといえる。

当職は、少年事件を担当したことは、弁護士になったあとはないが、少年事件は成人の刑事事件と比べて進行が早いので、一度、崩れると成人の刑事事件と比べても立て直しが難しい上、成人の刑事事件と異なり、全件送致主義が採用されているため、微罪だから手続から解放されるということもない。その意味では、少年に対するほうが、成人に対するよりも厳しい面もある。そのような成人の刑事訴訟との違いをきちんと押さえて考えるためには、少年法の理論と現状を抑えることが出発点のはずである。

林浩靖法律事務所では、どんな事件にも対応できるように、万全の準備をしておりますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

投稿者 林浩靖法律事務所

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