所長ブログ

2016年4月11日 月曜日

[書評]川戸昌・二宮加美編著 近代文語文問題演習(駿台文庫)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「近代文語文問題演習」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

先日、書評を行った出口汪「現代文講義の実況中継②(改訂版)」(語学春秋社)(該当する記事は、こちら)にて、近代文語文の読み方を学んだので、問題演習を行うことにした。「明治期の文化人たちが工夫して作った『新しい論理的文章』」(3頁)で、「現代の論文・評論文の土台」(3頁)になっている近代文語文であるが、大学入試での出題は、非常に限られていることもあり、近代文語文の読み方を練習できる書物は少ない。というか、ほぼ、本書一冊といっても良い状況にある。

本書の編著者は、共に、駿台予備校の国語科講師であり、本書は、「一橋大学・早稲田大学・上智大学の過去の入試問題とサンプル問題とで構成」(4頁)されている。「近代文語文は、『このように近代化はあるべきだ』という論調を基本」(4頁)としており、「日本近代化史」(4頁)を示すものといえる。本書では、森鴎外の「洋楽の盛衰を論ず」から、山田孝雄「国語の中に於ける漢語の研究」までの14の文章を取り上げて、全訳や文法解説も行いながら、解説している。取り上げられている問題文の著者も、西周、福沢諭吉、幸田露伴、坪内逍遥、徳富蘆花、中江兆民、永井荷風、夏目漱石と重要な者ばかりであり、近代文語文の読み方を身に着けるだけでなく、教養としても読んでおくべき著書がそろっていると言える。加えて、重要と思われる5つの文法ポイントについても、コーナーを設けての解説がなされており、現在のところ、近代文語文の読み方を身に着けるという観点では、ほぼ唯一の使える書物と言える。

法律の世界では、一部の大審院判例は今でも生きているが、それは戦前の文章であるから、近代文語文に近い形態で書かれている。近代文語文の読み方を身に着けることは、業務でも役立ちことといえる。また、森鷗外、夏目漱石、福沢諭吉、中江兆民の文章などは、教養として当然、押さえておくべきものであろう。

林浩靖法律事務所は、法律に限らず、教養を身に着け、社会のためという確固たる信念を持って業務しておりますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

投稿者 林浩靖法律事務所

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