所長ブログ

2016年9月23日 金曜日

[書評]松野 元 推論 トリプルメルトダウン(創英社/三省堂書店)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「推論 トリプルメルトダウン」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書の著者は、元は四国電力株式会社に勤務し、財団法人原子力発電技術機構(現:原子力安全基盤機構)に出向していた経験を有する原子炉主任技術者である。

著者は、「肝心のデータが公表されていないことを感じたので、ついに論文を書くことをあきらめ、『推理』という形で発表することにした」(5頁)と述べており、確かに根拠のない部分もあるが、福島第一原発は、地震発生後、緊急停止したのであるから、直ちに、緊急時炉心冷却システム(ECCS)である高圧注水系(HPCI)を使わなかったから、大事故になったという内容で、今まで、福島第一原発の津波到来後を問題にする見解が多かったことからすれば、注目に値する見解といえる。津波到来前の問題点については、国会事故調以外は、問題なしとして、根拠もなくスルーしようという態度を示しており、極めて不自然かつ不合理である。今回の見解は、かかる政府事故調や東電事故調の批判として、極めて重大な意義を有するものである。

当職も、福島原発事故被災者の損害賠償請求訴訟に携わっているので、この見解を活かせないか考えていきたいと思います。また、原発事故以外についての情報も、常にキャッチアップするように努めていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

投稿者 林浩靖法律事務所

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