所長ブログ

2016年12月19日 月曜日

[書評]長沼伸一郎 物理数学の直感的方法(普及版)理工系で学ぶ数学「難所突破」の特効薬(講談社ブルーバックス)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「物理数学の直感的方法(普及版)理工系で学ぶ数学「難所突破」の特効薬」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書は、直観的に理解させることで有名な著者の「物理数学の直観的方法」の普及版である。

本書は、「数学を直観的にイメージした本」(4頁)であるが、本書自体が、「一番良いのは、まず普通の教科書に一旦、目を通して、わからなかったら本書を読み、概念の意味をつかんでからもう一度教科書に当たること」(13頁)と述べているように、数学の副読本というイメージの書物である。

もっとも、本書の「やや長めの後記-直観化はなぜ必要か」(231頁以下)に述べられている内容には、現代社会への根本的な疑問が述べられている。即ち、「文明社会への数学の影響力というものを、単にテクノロジーの基礎をなす工学の発展を促したという面からのみ見がち」(280頁)であるが、「基本的なものの考え方という思想面への直接的影響の方が、それより遥かに大きい」(280頁)ところ、数学の発展の中で現れてきた「『人間の直接的な欲求や短期的願望(=欲望)を肯定し、それを迅速にかなえていけば、やがて自由放任の神の手が世の中を一番良い状態にしてくれる』との信念のもと、そうした直接的なルートの邪魔になるものを取り払っていこうという思想」(284頁)、これは、学問の専門化、個別化を産み出した。しかしながら、「学問の分割が実はできなかったということが明らか異なるとすれば、その重要性はもはや根本的なレベルから考え直さなければならなくなる。」(293頁)
しかしながら、それは「個人」をないがしろにして、「全体」を考えることが許されないことは、人間社会においては自明である。
ミクロの最適化がマクロの最適菜にはならない。しかし、ミクロの最適化を無視することはできない。そうであるとすれば、どのような制度設計が必要なのか、そのことは重い問いであろう。

林浩靖法律事務所では、お客様に常に満足できる最良のサービスを提供させていただくことは当然ですが、このようなミクロの問題だけでなく、マクロの問題にも目配りしながら業務に取り組む所存ですので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

投稿者 林浩靖法律事務所

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