所長ブログ

2014年1月27日 月曜日

[書評]多川俊映 唯識こころの哲学ー唯識三十頌を読む(大法輪閣)

1冊、書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「唯識こころの哲学ー唯識三十頌を読む」です(本記事は書評なので、この後は、「です」「ます」調ではなく、「だ」「である」調で書きます。)。

本書の著者は、以前、書評をした唯識入門(該当する記事はこちら)の著者である興福寺貫主の多川俊映師である。その多川師が、「西暦五世紀ごろのインドに出た世親(ヴァスバンドゥ)という学僧の著作」(39頁)で「唯識教説をわずか三十の詩句で簡潔に示した古来の名著」(2頁)である唯識三十頌の解説をしながら、唯識仏教の内容を説明している本である。そのため、以前、書評した「唯識入門」より、細かい内容が説明されている。

しかしながら、「すべてをこころの要素に還元し、他ならぬわが心の問題として考えようとする唯識仏教の要諦は、いってみれば、私たちというのは、心によって知られたかぎりの世界に住んでいるということ」(182頁)という結論を、臓器移植法の問題(59頁)や環境問題を「心の深いところで自然を対象化しているという(唯識仏教の)指摘」(62頁)と関連づけて説明するなど、現実問題と絡めなが
ら、かつ、「意識は氷山の一角」(59頁)など、ユング心理学の指摘も交えながら論じており、唯識仏教を分かり易く説明している所元であることには変わらない。

司法の世界は、心理学的な成果をうまく活かせていないことは、やはり感じるところであるが、事実認定には、心理学的な成果をうまく活かすことも必要であろう。その意味で考えさせるところのある書物であった。

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弁護士 林 浩靖

投稿者 林浩靖法律事務所

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