所長ブログ

2016年2月 8日 月曜日

[書評]中野貞一郎 民事執行・保全入門(補訂版)(有斐閣)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「民事執行・保全入門(補訂版)」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書の著者は、フリーライターであり、先週、書評をした「民事執行法」(該当する記事は、こちら)の共著者の一人である。

「民事執行・民事保全の『入門』であって、いわゆるファースト・ステップの本ではない」(はしがきⅱ頁)とされる本書は、ケースや図表も織り交ぜながら、民事執行法・民事保全法を説明する書物であり、体系書であり、正確だが堅い記載の「民事執行法」とは異なり、イメージがわくように工夫されている書物である、著者である中野名誉教授は、司法修習5期で実務についても基本的な部分を押さえていらっしゃる先生で、「民事執行・民事保全の領域では、学説は実務に対して常に謙抑でなければならない」(はしがきⅱ頁)とされつつも、民事執行法については、最も信頼できる書物を書かれる先生と言える。本書は分かりやすく、イメージがわくようにしつつ、正確性を犠牲にしていない、正に最良の入門書と言える。
ただ、惜しむらくは、これは、他の「民事執行・保全法」の書物と同じく、民事保全法に関する記述が薄いことである。7割程度が民事執行法の話で、民事保全法の説明は、申し訳なさげについている。本当は、ここももう少し丁寧に説明してもらえると、より良かったとは思う。

民事執行・保全は、処理の正確性が要求されるものの、細かい問題が多く、しかもイメージは沸きにくいという怖い分野です。林浩靖法律事務所では、きちんと問題点を把握して、万全の処理を期しておりますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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2016年2月 1日 月曜日

[書評]中野貞一郎・下村正明 民事執行法(青林書院)

1冊、書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「民事執行法」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

この本は、中野貞一郎大阪大学名誉教授と下村正明関西大学法科大学院教授の共著である。

中野名誉教授が、以前、現代法律学全集の第23巻として出されていた「民事執行法」の新版であるが、中野名誉教授の基本書は、民事執行法の数少ない体系書と言える書物であった。民事執行法は、その性格もあり、民事執行法成立直後に出された体系書を除けば、民事保全法も含めた学生向けの教科書と実務の取り扱いを説明する実務書は多いものの、体系書は、ほとんどなく、さらに、民事執行法単独の体系書に至っては、近年は、中野名誉教授のものしかないという惨状であった。

その中野名誉教授の基本書が、今回、装いを新たに下村教授との共著として出版された。中野名誉教授は、そのはしがきで、「今日、それを見上げて、今後も継続しながら、独立に、『民事執行法』の全てを追求してゆかなければならない」(ⅰ頁)と述べているが、今後は、下村教授が改訂を続けていくのだろう。民事執行法は、実務色の強く、また、経済情勢に大きく影響を受けざるを得ない分野なので、今後も、法改正もありえ、また、重要な判例も現れるであろう。中野名誉教授の基本書を下村教授が改訂を続けてくれれば、今後とも、民事執行法の最新の体系書の地位を保ちつづけてくれるだろう。そして、体系書の少ない民事執行法という分野にあっては、中野名誉教授の基本書のような定評のある体系書が今後とも最新の事情を反映した基本書であり続けることは本当にありがたいことである。

民事執行は、民事訴訟を実効あらしめるために大変重要なものであり、弁護士の仕事において、件数こそ多くないものの執行が必要になった場合、その処理を誤ると依頼者に回復不能な損害を与える危険性があります。林浩靖法律事務所では、実務書だけでなく、体系書もきちんと確認して、万全の処理を期しておりますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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2016年1月25日 月曜日

[書評]川出敏裕 少年法(有斐閣)

1冊、書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「少年法」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書の著者は、東京大学大学院法学政治学研究科教授で、ご専門は刑事訴訟法である。本書は、刑事訴訟法学者の執筆ということもあり、緻密な解釈論が展開されており、理論面は充実している。

「その手続過程及び最終的に言い渡される保護処分を通じて、非行を行った少年を改善教育し、その少年が将来再び非行を行わないようにすることを目的」(11頁)とする「少年法は、刑事訴訟法と比較すると条文数が少ないこともあり、実務の運用が、その姿を形作るうえで大きな役割をはたしている」(はしがきⅰ頁)ところ、少年法の基本書は少なく、正直、これまでの書物は、読んで退屈で挫折するものが多かった。
その中で、本書は、学者の書いた緻密な解釈論が展開される書籍であるため、考えながら読めば、十分に納得して読み進めることができ、近時の少年法の書籍の中では、一押しといえる。

当職は、少年事件を担当したことは、弁護士になったあとはないが、少年事件は成人の刑事事件と比べて進行が早いので、一度、崩れると成人の刑事事件と比べても立て直しが難しい上、成人の刑事事件と異なり、全件送致主義が採用されているため、微罪だから手続から解放されるということもない。その意味では、少年に対するほうが、成人に対するよりも厳しい面もある。そのような成人の刑事訴訟との違いをきちんと押さえて考えるためには、少年法の理論と現状を抑えることが出発点のはずである。

林浩靖法律事務所では、どんな事件にも対応できるように、万全の準備をしておりますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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2016年1月18日 月曜日

[書評]首藤伸夫外編著 津波の事典(縮刷版)(朝倉書店)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「津波の事典(縮刷版)」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書は、首藤伸夫東北大学名誉教授らが編集し、数多くの地震学、津波学の教授による事典である。

2007年に初版が発行された本書は、2011年の東日本大震災の後、縮刷版が刊行された。「津波に関する現時点での科学技術を一括して取りまとめて示すこと」(はじめにⅳ頁)を目的とするため、「津波を理解する理学」(はじめにⅱ頁)と「その被害を防ぐ工学」(はじめにⅱ頁)の双方に目配りされている。

「津波に学問のメスが加えられたのは、明治三陸津波(1896)から」(はじめにⅰ頁)であるから、まだ、研究されている年数が多くなく、分かっていないことも多い。しかしながら、日本は有数の津波被害を受けている国であり、その基本的な知識はきちんと押さえておかねばならない。

また、業務の上でも、当職は、原発事故被害者の賠償問題にも関わっているが、そこでは、事故原因として津波が問題となっており、その基本的な理解は欠かせない。その意味で、業務にも直結している。事件処理に当たっては、法律についての知識だけでは不十分なことを改めて感じるところである。

林浩靖法律事務所は、法律に限らず、必要な基礎知識をきちんと押さえて業務しておりますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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2016年1月11日 月曜日

[書評]出口汪 現代文講義の実況中継①(改訂版)(語学春秋社)


1冊、書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「現代文講義の実況中継①(改訂版)」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書は、高校生用の学習参考書であるが、「現代文で必要なのは、九割が論理的思考能力」(7頁)として、「『結論と論証過程』で問題文は成り立っている」(49頁)現代文の解法を説明する書物である。ただ、ビジネス文書は、結論とその理由、即ち、論証過程で成り立つものであるから、ビジネス文書をきちんと読むための参考書としても利用することが可能である。問題数も多くなく、解法が丁寧に説明されているので、ビジネス文書がきちんと読めないと感じる方の補強用や、文書の読み方の点検用にも適している。

当たり前のことであるが、「読めない」者が、上手な文書を「書く」ことができることはあり得ない。

弁護士の仕事は、多くの文書を書くことで成り立っています。訴訟は勿論、契約書の作成や内容証明郵便の起案などは、いずれも、文書の作成です。基本を常に確認しながら、文章力の向上を常に図っておりますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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