所長ブログ

2016年12月12日 月曜日

[書評]五百旗頭真 編著 戦後日本外交史(第3版補訂版)(有斐閣アルマ)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「戦後日本外交史(第3版補訂版)」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書の編著者は、神戸大学名誉教授であり、外交・防衛分野の専門家である。本書は、「戦後日本の外交についての通史」(はじめにⅳ頁)である。戦後日本外交の大枠は、吉田茂首相が選んだ「安全保障の大枠を米国に依存しつつ、軽軍備の自由民主主義をとる経済国家として、自由貿易体制の中で生計を立てる戦後日本という、2009年まで持続した路線」(33頁)がどのように展開されてきたかと、その後の外交の漂流を描写した書物である。もっとも、「日米関係プラス日中協商が両輪」(312頁)である日本外交が、概ね適切に展開していたのは、森喜朗内閣までであった。この後、「日米関係へ格別な例外的重要性を与えてい」た小泉純一郎内閣(265頁)以降の日本外交は漂流が始まる。この後は、福田康夫内閣、菅直人内閣、野田佳彦内閣が、日米関係プラス日中協商の路線に戻そうと努力するも、概ね、1年程度では行えることに限度があり、更に、米中対立が深刻化する中、両者のバランスが悪い不適切な外交が常態化している。

戦後日本外交も、歴史として語らねばならない部分が出てきた。国際化の時代の中で、外交には関心を持たねばならない。

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弁護士 林 浩靖

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2016年12月 5日 月曜日

[書評]安藤達朗(佐藤優企画/編集/解説、山岸良二監修)いっきに学び直す日本史 近代・現代 実用編(東洋経済新報社)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「いっきに学び直す日本史 近代・現代 実用編」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書、前回書評を行った「いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編」(該当する記事は、こちら)の続編にあたり、享保の改革以降を扱っている。

ただ、本書で一番感心するのは、293頁以降の「付録② 日本史ガイダンス」である。ここでは、元が受験参考書であったとは思えないほど、「歴史学」の基礎知識がまとめられており、受験参考書とうだけでなく、大学入学後の勉強につながるように配慮されている。例えば、「歴史を学ぶ者は、現在に対して鋭い問題意識をもつことが求められる」(295頁)、「歴史研究の目的は、歴史像の形成にある」(301頁)という歴史学の導入に始まり、「日本史が世界史の中で展開し、世界史の一環を担うものであることは忘れてはならない」(319頁)という指摘など、視野を広く持たせる指摘が含まれている。

まさに、ビジネスの現場で役立ち知識が身につけられる書物と言える。本書は、まぎれもない良書である。

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2016年11月28日 月曜日

[書評]安藤達朗(佐藤優企画/編集/解説、山岸良二監修)いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編(東洋経済新報社)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書の著者は、元駿台予備学校講師であり、評判の高かった受験参考書を、作家・元外務省主任分析官の佐藤優氏が企画して、復刊した書籍である。

本書は、「できるだけ詳しい記述を行う一方で、歴史の流れや動きの大筋を見失わせずに統一的に理解させる」(13頁)という方針で書かれている。受験参考書として作成されたものであるから、分量の制約があり、また、大学入試で問われる情報を網羅する必要がある。ただ、そのために情報の羅列になることが多い中で、本書は、歴史の流れを押さえ、理解させるように書かれている。
例えば、鎌倉時代について、「鎌倉幕府が関東御料を財源とし、将軍家が知行国主であったことは、幕府が貴族・寺社とかわらない大荘園領主で、古代国家の権力とそれほど違わない性格を持つことを示すものであった。しかし、幕府と地頭である御家人との間には強い主従関係が成立し、御家人がその所有する武力で所領の在地支配を強化し、封建領主として成長しつつあったことは、やはり新しい社会が来つつあることを示すものだった」(159頁)と指摘されている。
このような指摘があるから、時代の流れを押さえることができ、雑多な情報ではなく、体系だった知識になる。本書は、まぎれもない良書である。

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2016年11月21日 月曜日

[書評]清野智昭 中級ドイツ語のしくみ(白水社)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「中級ドイツ語のしくみ」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書の著者は、千葉大学准教授であり、NHKのドイツ語講座の講師もされていた方である。

外国語学習のための参考書は、入手のしやすさにかなりの違いがある。勿論、一番手に入りやすいのは、英語である。英語なら、入門レベルから上級レベルまで日本語での参考書が本屋で探せば手に入る。次に入手しやすいのは、中国語とフランス語で、中級レベルまでは日本語での参考書が比較的揃っているが、上級の日本語での参考書を入手するのはかなり難しい。ドイツ語の場合は、入門レベルから初級レベルまでは比較的日本語での参考書が揃っているが、中級レベルになると日本語での参考書を入手するのはかなり難しくなる。本書は、「初級文法を一通り終えた方、あるいは長年ドイツ語を勉強していても何かすっきりとわかった気がしないという方を対象としたドイツ語文法の解説書」(3頁)であり、ドイツ語では珍しい中級レベルの日本語での参考書である。

「ドイツ語と日本語の否定の一番の違いは、ドイツ語では名詞自体を否定できるということ」(53頁)、「『時間-理由-様態-場所』の語順が確率的に多い」(55頁)、「ドイツ語の名詞には『性』、『数』、『格』の情報が常に内包され」ている(134頁)など、初級段階ではやっているはずなのに、意識できていないことや明確に説明されていないことを明らかにする説明がなされており、非常に有益な書物である。

外国語学習には、その外国語を学ぶということの外に、日本語を見つめ直すという部分があります。そして、弁護士は、意味のはっきりする日本語で書面を書く必要のある仕事です。

林浩靖法律事務所は、基本的な能力もきちんと向上させることを怠らずに業務しておりますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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2016年11月14日 月曜日

[書評]高木多喜男 担保物権法(第4版)(有斐閣法学叢書)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「担保物権法(第4版)」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書の著者は、神戸大学名誉教授であり、本書は、担保物権法に関する信頼できる体系書という評価が長年されてきた書物である。

「金融を媒介する担保制度は、金融取引が要求する新しい需要に照応して、絶えず変動」(はしがきⅲ頁)ので、民法においては、比較的、改正の多い分野である。実際、「民法典の抵当制度は土地を中心とする保全抵当であり、その後のわが国資本主義の発展と共に、生産信用の担保手段として、新たな立法的要求が出てくるのは当然の成り行きであった」(101頁)のであり、「特別法の制定ないし民法典の改正が行われてきた」(101頁)ところ、本書では、特別法上の担保制度についても概要が述べられるなど、網羅的かつ信頼のおける叙述がなされているため、近時は、改訂されていないが、今なお、信頼に値する書物と評価されている。

担保制度は、民法上の重要な制度であり、また実行のタイミングなど判断の難しい要素がある重要な分野である。

林浩靖法律事務所は、信頼できる文献を確認することを怠らずに業務しておりますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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