所長ブログ
2017年6月21日 水曜日
[書評]小西甚一 国文法ちかみち(ちくま学芸文庫)
1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「国文法ちかみち」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。
本書の著者は、筑波大学名誉教授であり、本書は、一時代前の高校生向けの受験参考書である。
「はじめに」で、著者は「文法を忘れたまえ」(13頁)と言い切る。もっとも、その直後で、「忘れるためには、まず覚えていなくてはならない」(13頁)と述べているから、テクネ―としての文法は、無意識にできるようにならなければならないというのが、その真意だと思う。
そして、本書は、現代文と古文の文法がリンクするように論じられている。これは、島内景二電気通信大学教授が解説にて、「古代から現代まで、変化してやまない言葉とどう向き合い、変貌する文化を捉えるか」(543頁)という著者の問題意識を、高校生向けに示したものといえよう。
本書の「『ちかみち』とは、考え方の『すじみち』のことである」(545頁)。そして、「本書は、読者に文学と文化の学力を身に付けさせることを目指している」(547頁)。大学受験の先を見据えた受験参考書であった。
弁護士の仕事は、文書を書くということが大きな比重を占めます。林浩靖法律事務所では、法律に限らず、常に研鑽を怠らず、お客様に常に満足できる最良のサービスを提供させていただく所存ですので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
投稿者 林浩靖法律事務所 | 記事URL
2017年6月14日 水曜日
[書評]佐伯仁志 刑法総論の考え方・楽しみ方(法学教室LIBRARY)(有斐閣)
1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「刑法総論の考え方・楽しみ方(法学教室LIBRARY)」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。
本書の著者は、東京大学教授で、ご専門は刑法である。刑法は、行為無価値論と結果無価値論の対立があるが、著者である佐伯教授は結果無価値論の立場にたつ。もっとも、その体系は、著者の師匠である平野竜一東京大学名誉教授に忠実で、責任構成要件を認める立場なので、判例・実務が採る行為無価値論からも、(若干注意して読むべき部分はあるが)違和感なく読むことは可能である。
本書は「読者の方に、刑法総論の基本的な考え方を理解していただき、自分で考えることの面白さをわかっていただく」いことを目標として」(はしがきⅰ頁)、法学教室で行われた連載をまとめたものである。
本書はいわゆる体系書ではないので、内容は網羅的ではないが、重要な論点は概ね網羅され、基本書をかみ砕いて説明したり、あるいは、隠れた前提や進んだ問題を明らかにするなど、副読本として使われることが想定されていると思われる書物であるが、刑法総論の知識だけでなく、「学説を評価する際にも、個々の見解の細かな違いを気にする前に、まず大づかみに違いを把握することが大事である」(222頁)、「判例研究においては、判例理論の検討だけでなく、実際の適用範囲を明らかにすることも、現実の法(Law in Action)を認識するという意味で重要である」など、学習上の注意点も示されている。
林浩靖法律事務所では、本書に限らず、常に研鑽を怠らず、お客様に常に満足できる最良のサービスを提供させていただく所存ですので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
投稿者 林浩靖法律事務所 | 記事URL
2017年6月 7日 水曜日
[書評]歴史教育研究会(日本)・歴史教科書研究会(韓国)編 [日韓共通歴史教材]日韓交流の歴史 先史から現代まで(明石書店)
1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「[日韓共通歴史教材]日韓交流の歴史 先史から現代まで」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。
本書は、日本と韓国の学者と教育関係者の研究会が、集団で執筆したものであり、「先史から現代までの日本と韓国の交流史を、高校生や若者のための歴史の共通教材として書いたもので」あり(436頁)、「日韓関係史を正しく理解する」(5頁)ために書かれた通史である。
日本列島と朝鮮半島は、ともに中華社会の周縁であった。そのため、どうしても中国の動向の影響が、日本列島と朝鮮半島の関係に及ぶ。江戸時代の「通信使外交は、日本と朝鮮両国の努力により維持された」(154頁)ものであり、近代になり、西洋諸国の影響が及ぶようになると、その近代化の速度が、各国の命運を分けた。「日本にとって、日清戦争は清との戦争だけでなく、朝鮮民衆との戦争でもあった。」(186頁)そして、日本による植民地支配と第二次世界大戦の終結による朝鮮半島の解放、そして冷戦の影響による朝鮮半島の南北分断の固定化を経て、日本は日韓基本条約を締結し、韓国と国交を回復した。しかし、「日韓条約は、両国間の歴史認識に関する問題、領土問題、日朝修好問題などが提起される度に、問題の根源として振り返られている。」(312頁)
日本と一番近い外国である韓国との関係、それは好悪だけで扱える問題では決してない。そして、在日コリアンも多く、その基本的知識を有することは、社会人として当然、要求される事項である。
林浩靖法律事務所は、法律に限らず、そのバックグラウンドを押さえて業務しておりますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
投稿者 林浩靖法律事務所 | 記事URL
2017年5月31日 水曜日
[書評]阿川尚之 憲法で読むアメリカ史(全)(ちくま学芸文庫)
1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「憲法で読むアメリカ史(全)」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。
本書の著者は、慶応大学名誉教授である。
日本国憲法81条の規定する違憲審査制は、その淵源は、米国憲法にある。そして、日本の違憲審査論をリードした芦部信喜東京大学名誉教授は、米国での違憲審査基準の議論を参考に違憲審査基準を体系化した。
しかしながら、「日本の最高裁は長い間違憲判決を下すのに消極的でありつづけた」(67頁)のであり、「ある制度を条文のうえで単に移入しただけでは、なかなかうまく機能しない」(67頁)ところではある。
しかしながら、米国の違憲審査制も、もちろん歴史の中で発展してきたものである。
むしろ、米国は、「建国時と同じ憲法を国の最高法規として掲げてきた」(12頁)のであり、「国のかたちは、大筋において変わっていない。」(12頁)「アメリカはその建国の過程からして、ロイヤーの国であった。」(24頁)
米国は、いまなお超大国の1つであり、好むと好まざるとにかかわらず、その基本的な点は押さえておく必要がある。そして、その米国のかたちを規定してきたのは、建国時から大枠において同じ憲法であり、しかも、日本国憲法は、米国憲法の影響を受けている。米国憲法からみたアメリカ史という本書は、米国を、日本国憲法を理解するために基本的な書物と評価できよう。
林浩靖法律事務所は、憲法に限らず、そのバックグラウンドを押さえて業務しておりますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
投稿者 林浩靖法律事務所 | 記事URL
2017年5月24日 水曜日
[書評]ミシェル・ウエルベック(大塚桃訳) 服従(河出書房新社)
先日のフランス大統領選は、中道で無所属のマクロン候補が 極右政党・国民戦線のルペン候補を破り、勝利しました。この機会に、フランスの近未来を描いた小説である「服従」を読んだので、書評をしたいと思います(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。
長年、右派と左派の対立のみを軸にしてきたフランス大統領選挙が、初めて、二大政党の候補者が決戦投票に残れなかったのが、今回のフランス大統領選だが、「服従」は、近未来、2022年のフランス大統領選を舞台にしている。決選投票に残るのは、一人は、今回の大統領選でも決選投票に残ったルペン氏で、対立候補としては、イスラム同胞党のモアメド・ベン・アッベスという人物が登場している。
主人公は、フランスのデカダン派作家であるジョリス=カルル・ユイマンスを研究する知識人で、大学教授と設定されている。恋人は、ユダヤ人のミリアムであるが、彼女は、決選投票前に、イスラエルへ移住する。その理由を両親が「フランスで、ユダヤ人にとって重大なことが起こるだろうと確信しているから」(99頁)と説明しているが、ここには、ヨーロッパにおける反ユダヤ主義の影や、イスラム教徒とユダヤ人の対立が投影されている。
最終的に、恋人と別れた主人公は、イスラム教に改宗するところで終わる。イスラム教政権が出来て、イスラム教に順応していくということだ。本当に、近未来のヨーロッパをイスラム教が席巻するのかは分からないし、普通に考えれば非現実的で、ヨーロッパのイスラムに対する偏見が投影されているとみるべきだろう。ただ、新自由主義・資本主義の欠陥が現れだしており、国家統合という壮大な試みであるEUも、イギリスの離脱など、分解過程に入っていると思われることも事実である。新自由主義・資本主義の矛盾が露呈する中で、社会主義は既に対立軸としての生命を喪失している。新たなスタンダードは、イスラム教なのかもしれない。
当職は、フランス文学についての知識がないため、ジョリス=カルル・ユイマンスをはじめとするフランス文学に関するところは良く分からない。ただ、フランス文学についての知識があれば、かかる面でも楽しめるだろう。
小説であるが、いろいろなことを考えさせられる書物であった。
林浩靖法律事務所は、法律に限らず、教養を身に着け、社会のためという確固たる信念を持って業務しておりますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
投稿者 林浩靖法律事務所 | 記事URL
















