所長ブログ
2016年6月13日 月曜日
[書評]野口浩 いちばんわかる税法の本(第3版)(TAC出版)
1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「いちばんわかる税法の本(第3版)」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。
本書の著者は、大学で非常勤講師もされている税理士である。2009年に出版された書物なので、毎年改正のある租税法の書物としては、やや古くなっていることは否めない。
本書は、著者が以前出されていた「『税法のぷらっとフォーム』を増補改訂したもの」 (はしがき)であるが、原著の時から読みやすい入門書であった。入門書であり、頻繁に改定されるような事項を扱っているわけではないので、税率など細かい変化はあるものの、六法を参照しながらであれば、いまでも入門書としての用途には十分に耐える書物である。
「本書のねらいは、税法の『おもしろさ』と『奥深さ』を伝えること」(はしがき)であるが、本書は、このねらいを十分に達成していると思う。
弁護士は、資格としては、税理士業務はできることになっているが、税法には特有の難しさがあり、自信をもって手を出せるようになるには、日々の研鑽が必要な分野である。
林浩靖法律事務所では、どの分野についても日々研鑽に努め、お客様に常に満足できる最良のサービスを提供させていただく所存ですので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
本書の著者は、大学で非常勤講師もされている税理士である。2009年に出版された書物なので、毎年改正のある租税法の書物としては、やや古くなっていることは否めない。
本書は、著者が以前出されていた「『税法のぷらっとフォーム』を増補改訂したもの」 (はしがき)であるが、原著の時から読みやすい入門書であった。入門書であり、頻繁に改定されるような事項を扱っているわけではないので、税率など細かい変化はあるものの、六法を参照しながらであれば、いまでも入門書としての用途には十分に耐える書物である。
「本書のねらいは、税法の『おもしろさ』と『奥深さ』を伝えること」(はしがき)であるが、本書は、このねらいを十分に達成していると思う。
弁護士は、資格としては、税理士業務はできることになっているが、税法には特有の難しさがあり、自信をもって手を出せるようになるには、日々の研鑽が必要な分野である。
林浩靖法律事務所では、どの分野についても日々研鑽に努め、お客様に常に満足できる最良のサービスを提供させていただく所存ですので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
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2016年6月 6日 月曜日
[書評]末吉亙編著 実務知的財産法講義(新版)(民事法研究会)
1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「実務知的財産法講義」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。
本書は、編著者を含む8名の弁護士を執筆者とする共著である。そして、主たる読者が法科大学院生であることから、「①判例を重視すること、②特許と著作権にウェイトを置くこと、③特許と著作権は概説部分を論点検討部分に分けること、④特許と著作権については新司法試験レベルを目標とした学習計画が立てられることを重視」(はしがき4頁)して執筆されている。
そのため、初学者に対する配慮がみられる。例えば、「特許法の特徴として、①特許権は特許庁に対する特許出願の手続を経て付与されるものであるため、特許庁における手続に関する技術的規定が多い、②民法・民事訴訟法などの他の法律の規定を前提として、それを特許法独自の観点から修正する規定も多く、したがって民法等の法律の理解が重要となる」(11頁)のように、全体像や学習上の注意点がきちんと示されている。
林浩靖法律事務所では、主要な法律の基本をきちんと押さえ、お客様に常に満足できる最良のサービスを提供させていただく所存ですので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
本書は、編著者を含む8名の弁護士を執筆者とする共著である。そして、主たる読者が法科大学院生であることから、「①判例を重視すること、②特許と著作権にウェイトを置くこと、③特許と著作権は概説部分を論点検討部分に分けること、④特許と著作権については新司法試験レベルを目標とした学習計画が立てられることを重視」(はしがき4頁)して執筆されている。
そのため、初学者に対する配慮がみられる。例えば、「特許法の特徴として、①特許権は特許庁に対する特許出願の手続を経て付与されるものであるため、特許庁における手続に関する技術的規定が多い、②民法・民事訴訟法などの他の法律の規定を前提として、それを特許法独自の観点から修正する規定も多く、したがって民法等の法律の理解が重要となる」(11頁)のように、全体像や学習上の注意点がきちんと示されている。
林浩靖法律事務所では、主要な法律の基本をきちんと押さえ、お客様に常に満足できる最良のサービスを提供させていただく所存ですので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
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2016年5月30日 月曜日
[書評]野中俊彦・中村睦男・高橋和之・高見勝利 憲法Ⅱ(第5版)(有斐閣)
1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「憲法Ⅱ(第5版)」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。
本書は、芦部信喜東京大学名誉教授のお弟子さんに当たる4名の憲法学者による「ある程度共通の学問的基盤と問題意識の上に立った数人の者で、相互に意見を出し合い調整しながら」書かれた共著(はしがきⅲ頁~ⅳ頁)である。
本書は、現在、第5版になっているが、この本の新版を司法試験の受験の際、参考書として使用した。憲法では、第一人者といってよい芦部信喜東京大学名誉教授の書かれた「憲法」(以前書評をしました。該当する記事はこちら)があり、芦部憲法は、コンパクトに憲法全体をまとめた良書であるが、統治分野の記述がやや簡潔すぎるところがあるので、それを補うために本書の新版を用いていたのである。
「本書は、大学の講義用教科書として書かれたものであるが、全体としてマクロには近代立憲主義の歴史と原理、現代国会におけるその受容と変容の解明、ミクロには主要な論点ごとの学説・判例の整理と問題点の解明につとめた。一般的な講義用教科書としての性格上、後者の日本国憲法の解釈論が中心となるが、その前提あるいはその周辺に位置する憲法原理・憲法史・比較憲法の諸問題にもできる限り触れるようにした」(はしがきⅳ頁)ということであるが、周辺問題も含めた内容の濃さは憲法の基本書でもナンバーワンであろう。「憲法の辞書」としても使える書物である。
実務において、憲法は問題になる事件は少ないものの法律家にとってのバックボーンとして重要な法律です。林浩靖法律事務所では、憲法の理念を体現しながら、お客様に常に満足できる最良のサービスを提供させていただく所存ですので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
弁護士 林 浩靖
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2016年5月23日 月曜日
[書評]森田章 上場会社法入門(第2版)(有斐閣)
1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「上場会社法入門」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。
本書の著者は、同志社大学教授で、会社法・金融商品取引法を専門とする。本書は、2010年の著作なので、当然のことながら、会社法の2014年改正をはじめとする法改正には対応していない。
ただ、そのようなことで、本書の価値が失われるとは思わない。本書は、「会社法による公開会社に関する規制だけでは、上場会社などが実際の企業活動を行っていることに対する規制の在り方を考えることはできない」(はしがきⅱ頁)という認識の下、「金融商品取引法の諸原理を会社法と関連づけて説明」(はしがきⅱ頁)しており、金融商品取引法も含めた上場会社に対する法規制を論じる際の体系を示している書物だからである。現実の会社法実務では、商業登記も大きな役割を果たすので、出来れば、商業登記法まで関連付けられればより良かったが、それでも、会社法と金融商品取引法を併せて体系化しているという点で、有用な書物である。その後の法改正は、適宜に位置付けれれば足りるのである。
林浩靖法律事務所では、関連する法分野については一体的な理解に努め、お客様に常に満足できる最良のサービスを提供させていただく所存ですので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
本書の著者は、同志社大学教授で、会社法・金融商品取引法を専門とする。本書は、2010年の著作なので、当然のことながら、会社法の2014年改正をはじめとする法改正には対応していない。
ただ、そのようなことで、本書の価値が失われるとは思わない。本書は、「会社法による公開会社に関する規制だけでは、上場会社などが実際の企業活動を行っていることに対する規制の在り方を考えることはできない」(はしがきⅱ頁)という認識の下、「金融商品取引法の諸原理を会社法と関連づけて説明」(はしがきⅱ頁)しており、金融商品取引法も含めた上場会社に対する法規制を論じる際の体系を示している書物だからである。現実の会社法実務では、商業登記も大きな役割を果たすので、出来れば、商業登記法まで関連付けられればより良かったが、それでも、会社法と金融商品取引法を併せて体系化しているという点で、有用な書物である。その後の法改正は、適宜に位置付けれれば足りるのである。
林浩靖法律事務所では、関連する法分野については一体的な理解に努め、お客様に常に満足できる最良のサービスを提供させていただく所存ですので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
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2016年5月16日 月曜日
[書評]佐伯仁志・道垣内弘人 刑法と民法の対話(有斐閣)
1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「刑法と民法の対話」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。
本書の著者は、刑法を専門とする佐伯仁志東京大学教授と民法を専門とする道垣内弘人東京大学教授のお2人である。2001年の著作なので、話がやや古くなっているところもあるが、「民法学と刑法学の交流のきっかけとなることを第一次的な目的」とする対談(はしがきⅰ頁)を基にした著作であり、専門化が進む中でこのような分野横断的な書物は珍しいので、今でも十分に参照する価値のある書物であると考える。
現実の事件処理では、特定の法分野だけを気にして処理をすることはできず、複数の分野に目配りして処理をしなければならないことも多い。そして、「刑法と民法が交錯する法律問題は多々存在するのであり、お互いにお互いを理解しながら、矛盾のない法体系を構築すべきである」(358頁)にもかかわらず、現実には、それぞれの分野だけを考えたとしか思えない文献が多く、実務処理をしようとすると頭を悩ませることが少なくない。「民法と刑法の双方を理解した上で、双方の交錯する問題を検討することは、学界でもまだまだ不足している」(358頁)のである。
本書は、刑法と民法が交錯する問題についての双方の専門家の対談であり、統一的な理解のきっかけになることが記されている。また、それだけでなく、例えば、「検察官を信頼して任せておけばすべてうまくいく、という発想は、多くの事案で実際にもうまくいっていることを否定しませんが、刑法理論のあるべき姿には反しています」(146頁)というような刑法理論の基盤に関する指摘や、「民法の教科書が『犯罪行為に該当するような契約は無効である』というときには、おそらく、国家的法益や社会的法益に対する罪をまず念頭に置き、さらには、個人的法益に対する罪に該当するような行為について、行為者と第三者が契約をするということを考えてきた」(267頁)というような民法の教科書の書かれざる前提を示すなど、民法や刑法に関する知識や視点も含まれている。
林浩靖法律事務所では、法的事務について、お客様に常に満足できる最良のサービスを提供させていただく所存ですので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。
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