所長ブログ

2017年4月12日 水曜日

[書評]丸山真男 「文明論之概略」を読む 中(岩波新書)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「『文明論之概略』を読む 中」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書は、以前書評をした上巻(該当する記事はこちら)の続きであり、「文明論之概略」の第4章~第7章を扱う。

著者が、「福沢が思想家として優れていると思う点の一つは、その想像力の豊かさです」(287頁)と指摘している通り、福沢諭吉の考え方には、現在でも考えさせられるところがある。
例えば、「制度をいくらよくしても、ものの考え方をかえていかなければダメだというのが、福沢の根本の考え」(244頁)というのは、現在の日本の司法制度にも感じるところがある。例えば、いわゆる人質司法もその一つである。本来、被疑者・被告人の逮捕・勾留は、逃亡や罪証隠滅を防止する手段でしかない。しかしながら、戦前からの考え方が抜けず、自白獲得の手段となっているように思われる。現行刑事訴訟法が施行されて約70年になるが、「考え方」が戦前から変わっていないことも証左だろう。

福沢の思想には、まだまだ学ぶべきところがあると思われる。

林浩靖法律事務所では、幅広い教養を踏まえて業務を行うように努めていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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2017年4月 5日 水曜日

[書評]我妻榮(清水誠・川井健補訂)民法案内 6担保物権法下(勁草書房)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「民法案内 6担保物権法下」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書は、以前1巻(該当する記事はこちら)、5巻(該当する記事はこちら)と13巻(該当する記事はこちら)を書評した民法案内の6巻で、担保物権法の後半部分、抵当権、譲渡担保、仮登記担保を扱っている。

「抵当権は、金融界のいわば寵児であって、ありとあらゆる不動産を目的として、いろいろの内容のものが設定され、活用されている。ところが、民法の規定は、極めて大まかで、問題となる重要な点に関するものが、あまりはっきりした系統もなく、並べてある」(はしがきⅵ頁~ⅶ頁)中で、例えば、「工場抵当法と民法三七〇条の規定の関係」(83頁)を考えるなどして、合理的な解釈論を導くための舞台裏を示してくれる。

林浩靖法律事務所では、新たな問題にも対応できる基本を押さえた十分な法的サービスを提供するように努めていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

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2017年3月29日 水曜日

[書評]我妻榮(川井健補訂)民法案内 5担保物権法上(勁草書房)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「民法案内 5担保物権法上」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書は、以前1巻(該当する記事はこちら)と13巻(該当する記事はこちら)を書評した民法案内の5巻で、担保物権法の前半部分、すなわち、担保物権法序論、留置権、先取特権、質権を扱っている。

担保物権法を扱う本書と6巻では、「留置権・先取特権・質権・抵当権の四つは、互いに関連しながら『譲渡担保』という近代的金融取引界の生み出した大きな湖に流れ込む川のようなものとして、説明して」おり(はしがきⅵ頁~ⅶ頁)、技術的性格が強く、特に、学習者は理解せずに覚えこもうとしかねない担保物権法を理解できるように説明している。本書は、平成19年の出版であるが、この分野は、出版以降、大きな法改正を受けておらず、当面、改正の予定もない部分が大半なので、十分、有用な書物である。やはり、理解できていると応用も効き、実務でも役に立つ。

林浩靖法律事務所では、新たな問題にも対応できる基本を押さえた十分な法的サービスを提供するように努めていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

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2017年3月22日 水曜日

[書評]山口栄一 イノベーションはなぜ途絶えたか-科学立国日本の危機(ちくま新書)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「イノベーションはなぜ途絶えたか-科学立国日本の危機」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書の著者は、京都大学教授であり、イノベーション理論と物性物理学をご専門とされる。著者の山口教授は、福島第一原発事故の原因に関する論考も書かれているが、本書は、もう少し大きい話で、「大きく通底するテーマ...はイノベーションの喪失と科学の危機」(26頁)とされる。「イノベーション・ダイヤグラムを中核とするイノベーションの理論と、東電福島第一原発事故などを普遍化して見出したトランス・サイエンスの理論とが実は同根であった」(222頁~223頁)という結論に至る中で、技術経営、トランス・サイエンスなどの問題を含む、科学と社会の関係性を論じている書物であり、福島第一原発事故の問題のみならず、学問と社会の関わり方一般に関して、いろいろと考えさせられる書物であった。新書本であるが、科学と社会の関係性について「基本書」としうる内容の濃い書物である。数学、物理学、情報学、化学、生命科学、心理学、哲学、経済学、法学、環境学を10のコア学問とし(202頁)、その他の学問を考えていることも、基礎学問とは何かを考える上で参考になる。

林浩靖法律事務所では、法律以外の点についても知識を深めるように、日々、研鑚に努めていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

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2017年3月15日 水曜日

[書評]司法研修所編 民事弁護教材 改訂 民事保全(補正版)(日本弁護士連合会)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「民事弁護教材 改訂 民事保全(補正版)」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

「本書は、民事弁護教官が、もっぱら弁護士としての経験にもとづき、司法修得生の教材のため実務に主眼をおいて編纂したもの」(まえがき)であるから、理論的な深みはなく、また、ページ数も本文110頁と極めて薄いものであるから、入門書レベルの書物ではある。もっとも、民事保全法については、学生を対象とする民事執行法と併せた入門書は、あまりにも薄すぎて、かえって分かりにくい書物が多いこともあり、民事保全法の入門書・概説書としては、ほぼ唯一、役に立つ書物と言える。

民事保全は、進行が極めて速い手続であり、また、迅速に申立てをしないと無意味になりかねないところがあるので、非常に神経を使う分野である。

林浩靖法律事務所では、基本を押さえた十分な法的サービスを提供するように努めていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

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