所長ブログ

2017年5月17日 水曜日

[書評]田山輝明 物権法[第三版]法律学講義シリーズ(弘文堂)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「物権法」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書の著者は、民法を専門とする早稲田大学名誉教授である。

本書の特徴は、①「叙述が具体的であり、いわゆる『演習』の要素を含んでいる」(はしがきⅱ頁)、②「現代日本の土地問題を物権法の教科書の中において説こうとしている」(はしがきⅱ頁)が挙げられているが、全体としては、概ね、穏当な内容で、学生向けの教科書である。なお、担保物権法については含まれていない。本文234頁と比較的薄い書物なので、ザッと読むには便利な書物だと思う。

林浩靖法律事務所では、物権法に限らず、常に基本を押さえた業務を行うように努めていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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2017年5月10日 水曜日

[書評]藤井剛 詳説政治・経済研究(第3版)(山川出版社)


1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「詳説政治・経済研究」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書は、高校生用の学習参考書であるが、その内容は、「政治・経済のほとんどすべての分野・内容を体系的・系統的に網羅」(Ⅰ頁)というものであり、高校教科書を深く掘り下げ、細かい資料が多数紹介されるなど、大学生や社会人が手許において資料集や辞書として用いることも可能なものとなっている。国際政治の、特に、地域的な動きの論述に若干雑な部分はあるものも、憲法・国際法・ミクロ経済学・マクロ経済学などに関する網羅性はかなり高い書物と評価できると思う。
もちろん、高校生用の書物であるから、「一番最初の選挙に行くことが肝心だ」(Ⅳ頁)等の高校生向けのアドバイスもあるが、例えば、「個別の質問の解答では、改憲すべき内容...と改憲すべきでない内容...がはっきりと分かれている」(96頁)など、憲法改正問題を考える上で、社会人にも役立つ視点が提示されたり、価格と需要・供給の関係のグラフ化(257頁)が示されたりするなど、ミクロ経済学の基礎を分かり易く示すなど、大学生・社会人が基礎知識をつけるためにも役立つ書物となっている。

弁護士という仕事は、依頼者の皆様のために頑張るのは勿論ですが、生じているトラブルは社会情勢が反映される面があります。法律以外の点についても、基礎事項をきちんと学んでおりますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、正義を守る法律事務所である東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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2017年5月 3日 水曜日

[書評]園尾隆司 民事訴訟・執行・破産の近現代史(弘文堂)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「民事訴訟・執行・破産の近現代史」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書の著者は、元裁判官の弁護士であり、「本書は、法律実務家による法律実務家のための日本近現代民事法制史である。」(はしがきⅰ頁)

「我が国には世界にまれな民事手続が多い。その起源を調べてみると、江戸時代に遡るものと明治期に生まれたものとが複雑に入り混じっている。」(はしがきⅰ頁)例えば、訴状却下において、「訴状自体を返却する運用は、江戸時代の慣習法に基づくものであるため、それを義務づける直接の規定はなく、『訴状却下命令に即時抗告をするときは、抗告状に却下された訴状を添付しなければならない』として裏からそっと注意喚起がされている(民事訴訟法第五七条)」などは、歴史を知らなければわからない話である。

「江戸時代の裁判は、職権主義、判例法主義、難件決済制、一審制、武断的裁判、刑罰を背景にした厳格な手続進行、民刑手続同一の原則という特徴を有しており、職権主義を支える与力・同心の裁判補助態勢も整っていて、職権主義的及び武断的という点において現代的ではないものの、制度としては完成度の高いものであった」(32頁)。そこに、明治維新後、西洋法、特に、ドイツ法・フランス法が移植され、現代の日本法が形成されていった。もっとも、「身についていない規定は空文化するものである。」(219頁)
「明治民事訴訟法以来、法廷での虚偽陳述に対する道徳が弛緩してしまった」(221頁)など、現代の法律実務における問題点、課題も形成されていった。
民事手続の歴史としては、類書の少ない完成度の高い書物といえる。

林浩靖法律事務所では、歴史的な背景もきちんと押さてた業務を行うように努めていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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2017年4月26日 水曜日

[書評]厳家祺・高皋 著 辻康吾 監訳 文化大革命十年史(下)(岩波現代文庫)


本書は、以前書評をした上巻(該当する記事は、こちら)、中巻(該当する記事は、こちら)に続く下巻であり、江青ら「四人組」が権力を握った時期から、毛沢東の死、そして、華国鋒が「四人組」を失脚させ、そして、鄧小平が復活する時期を描く。

文化大革命の時代、「公安、検察、司法系統はマヒ状態に陥り、このため人々は『無実の罪を申し立てる所もなければ、事件を訴えるところもない』という事態へと陥った。」(28頁)そして、「憲法にとって最も重要な問題の一つは国家の最高権力の交代はいかなる手続きによるのかを明文化して規定せねばならないこと」(359頁)であるが、「毛沢東の生前、最高権力の交代について明文化された規則はついに制定されたことはな」かった(360頁)。
暴力が支配した時代、司法制度が全く機能しなかった時代のあり様と中国の権力闘争の凄まじさを教えてくれる。

文化大革命も、その開始から50年、収束からも40年が経過し、歴史になろうとしている。しかしながら、日本にとっての太平洋戦争の敗戦、韓国にとっての朝鮮戦争と同じく、中国においては文化大革命の影響は、その反動も含めて、まだ、続いている。その経緯や意味は、今なお押さえておく必要があると思う。

林浩靖法律事務所では、法律に限らず、隣接分野についても常に研鑽を怠らず、お客様に常に満足できる最良のサービスを提供させていただく所存ですので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

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2017年4月19日 水曜日

[書評]川島武宜 新版 所有権法の理論(岩波書店)

1冊書評をしたいと思います。今回、書評をするのは、「新版 所有権法の理論」です(本記事は書評なので、この後は、「です」、「ます」調ではなく、「だ」、「である」調で書きます。)。

本書の著者は、民法・法社会学が専門の東京大学名誉教授であり、本書は、法律学の古典の1つである。

本書は、「『所有権』として法律的に現象してくるところの近代的所有権について、その規範論理的意味をではなくして、その現実的な社会現象としての構造を分析する」ものである(2頁~3頁)。それは、「西洋-特にフランスとドイツ―の法典の直訳的輸入によって制定されたわが『民法』の財産法は、明治初年の『近代化』政策-特にその一環としての私的所有権制度の導入-に基礎をおくものであるが、そのような民法典と日本の経済的・社会的・政治的・思想的現実との間には大きなずれがあった」(316頁)なかで、資本主義の構造と所有権論を結び付ける分析である。

「所有権の私的性質とは、資本の流通工程においては所有権の商品性、資本の生産工程においては所有権の階級制であった」(311頁)との指摘からも伺われるように、川島名誉教授が、K・マルクスの「資本論」の影響を受けていることは明らかである。むしろ、資本主義の構造分析という点では、現時点では、K・マルクスの「資本論」しか依拠できる書物はないであろう。もちろん、川島名誉教授に革命へのロマンなどない。あくまで、マルクスの資本主義の観察者としての魂と継承しているに過ぎない。

当時の日本は、農村を中心に残る封建制の除去は、重要な課題であった。ただ、現在では、グローバル資本に代表される大資本の暴走の制御を行うために、所有権をどう制御するかという理論が必要となっている。川島名誉教授の基礎理論は、今なお参照されるべき重要な知的遺産であるが、現代社会に即した理論の発展が望まれる。

林浩靖法律事務所では、基礎理論を押さえた業務を行うように努めていますので、何かお困りのことがありましたら、ぜひ、東京・池袋所在の林浩靖法律事務所にご相談ください。

弁護士 林 浩靖

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